Recent Market Trends of 3970
3970 についての最近のマーケットの動向について。まずはこちらを見てください。
この4本は全て今月のオークション結果なんですが、事情を知らないとちょっと驚きませんか。プラチナ+黒文字盤が一番安い結果なのがわかりますでしょうか。ちょっと不思議ですよね。そもそも近年のケース的な人気順位はPT>WG>RG>YG ですし、ダイアルは勿論 黒>白 。そうなると PT黒 が 最も高額そうな組み合わせなのに。
実はこれ、左の3本は初期モデル(1st & 2nd)なのです。よく見るとわかりますが 左の3本とも針がリーフですね。実は最近の 3970のトレンドとして、1stと2ndの値段が一気に高騰してきているんです。3970 の全体的な解説は 前回の記事 を参照してもらうとして、この3つのロットを見てきましょう。
まず 最も高額(なんと6,400万円)だったこちらは 100本しか生産されていない1stシリーズ の 5番目に生産された個体。1st は 1986~1988年 製造で、スナップバック・ケース、リーフ針、長方形のインデックスが特徴。ケースはイエローゴールド製で推定100本が製造。文字盤的には中央左右の2つのインダイアルの色がちょっと違うのが特徴。もちろん1st がレアなのは昔から誰もが分かってはいましたが、ルックス的に人気があった訳ではない(ケースがYGしかないし インダイアルの2トーンが特に美しいという評価でもない)ため、長い間 ここまで高い価格はついていなかったのが実情です。
こちらは 2nd シリーズのYG+白文字盤。2ndは(1987年~1990年)のケースは YGだけでなく RG/WG/PT の全てが製造(推定450本)されました。ただし黒文字盤は存在しません。これは最も数が多いYGケースですが、それでも4th の3970Pより高く落札されてますね。以前はレアだと言っても人気がなくて黒文字盤の4thより安く売られていることも全然ありましたね。だが、今はこの通り。
こちらが昨今、特に注目されている 2nd のホワイトゴールド。2ndにおいては黒文字盤が無いので 最も現代的なルックスの組み合わせは 白文字盤+WG/PT でしょう。実は以前から安くはなかったのですが、ついに4,000万円越えに。世界中のディーラーが密かにフォーカスしてきている証拠ですね。これからもこの流れは続くでしょう。
初期型(1st&2nd) が個体数が少ないのは良いとして、デザインとしてはどうなのでしょうか。こう見るとわかりますが、実は初期型の方が明らかにデザインのバランスは良いんです。リーフ針+長方形インデックスが端正ですし、人気なのも頷けます。後期は インデックスを砲弾型にして 針をストレートにした結果、全体的にスカスカ感が出て 白文字盤だと特に 印象が弱い顔になっている気がします。リーフ針が持っていたクラシック感も失われてしまいましたしね。ただし黒文字盤を望むなら後期型(3rd&4th)にしか存在しないので、そこは迷いがなく明確です。 「白文字盤なら2ndのWG/Pt 狙いで 黒文字盤なら自動的に後期」と、マーケット的にはそんな感じでしょうかね。
この写真なんかを見ると初期モデルのデザインがいかに良いか、わかると思います。2nd の黒文字盤があればなぁ…と思っているコレクターも多いことでしょう。
こちらは2018年のサザビーズに出品された 3971(1st&2nd時代に僅かに作られた別リファレンスを持つモデル)のTiffany ですが、これは今出たら、いったいいくらになるのかな、という感じですね。2nd モデルでケースはRGです。
今回のオークション結果を見ても 安定して強かったのは デイトナは ポールニューマンとビッグレッド。パテは 3970/5004/5970と(勿論ノーチラスもですが)。これはもうハッキリしてきましたね。それ以外は厳しい。その中で 3970 については細分化が進んできた印象でした。
今後を考えたら… 3970の黒はまだ安いので 狙い目。5004 は人気ですが既にかなり高いので、今の値段で買うと今後は どうですかね。今後は 5004のバーインデックスも伸びる気がします。背景としてはデイトナの頂上モデル(金無垢PN や 6263パンダ)が高くなりすぎたので、オークションハウスとしても 若いコレクターをターゲットとするため 20-30万CHF前後 の モデルを盛り上げて行きたい筈なので 3970 と 5004 を推して来ると思われます。
しかしながら Patekは 5270/5204系のマーケット評価が低いのが問題ですよね。結局のところレマニアムーヴを脱却して自社製にしてから コンプリケーションのデザインがうまく行ってない感じがあります。ロレックスは現行のデイトナもきちんと評価されていますし、ルマンを用意したり将来へ向けての布石も盤石ですしね。
- Keywords:
- Patek Philippe