2021.04.21

6265 PN

5月のPHILLIPSに出品されるこの疑惑の6265 ポール。ケースシリアルは2.8で、MK2パンダのポール文字盤が入れれる貴重なケースに違いないんですが、ノンオイスターのポール文字盤(本来は6241/39に入ってる筈のOYSTERの文字が無く、外周が赤巻の文字盤)が入っているんですね。

勿論こんな個体は昔は良くありました。単純にどこかのタイミングで2.8ケースの6265に、赤巻のポール文字盤を入れただけの個体だと思うんですが、現在では、NGな組み合わせ。こういったものの多くは正しい文字盤(この場合はMK2パンダか、ノーマルのMK1文字盤)に交換されて〜つまり歴史的修正を受けて〜販売される訳です。ですから普通ならオークションハウスはこういうものを受けない…筈なんですね。

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ですが今回は、履歴がオリジナルオーナーからの出品、保証書も完璧に残存、かつオーナーが当時腕にはめていた写真もある、そういう背景でPHILLIPSも受けたようです。シリアルからするとケースの生産は1972年あたりですが、販売されたのは6年後の1978年。こういうタイムラグは当時はよくありましたし、おそらく当時の販売店が顧客からの要望で このポール文字盤に入れ替えて販売した個体と推察されます。現在のROLEXはこういった行為はもちろん基本的にはNGとされていますが、当時は普通に行われていたとも言われています。実際にこのオーナーの方も、事実 この状態で購入したのでしょうね。

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それでも、今までこう言ったミスマッチの個体はNGとすることで、厳格なモデル系譜の体系化と 価値の維持 が行われてきた訳です。考え方によっては販売店が入れ替えたとしても、間違いは間違いなわけで、いわゆるひとつの「Wrong Watch」と考える人も多いでしょう。こういう時計を安易にオークションに受けることを良しとしないコレクターも多いかもしれません。

ただPHLLIPSとしては 基本的には厳格にやってるので、今回は「こういう数奇な運命を辿った時計が しっかりとした履歴を伴って出てきた」という事で、そこに価値をつけたというのが実際のところなんだと思います。

 

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Rolex