2022.11.08

Patek 5270T-010(Charity Auction)

チャリティ用に1本だけ作られたチタン製ケースの5270T-010ですが、ジュネーヴでのイベントでオーレルがオークショニアを努めて、落札額は9,700,000CHF(邦貨 14億円)でした。

もちろんこれは ユニークピースの時計だし、チャリティなので ご祝儀付きのハンマーですからこの金額自体に大きな意味はありません。ですが重要なことは Patek が何故 この時計を提供したのかという事でしょう。

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この時計の特徴は 5270、チタン、グリーン文字盤。ROLEX でも次なるトレンドと目されているチタン素材。そして5270を選んだことで、今後も永久カレンダークロノをひとつの人気モデルとしてPatekが推して行きたいという意向。当然マーケットもこの意向に合わせて動きますから。また、文字盤をグリーンにしたことは見た目がそっくりなカタログモデル、 5270p と 5204G の市場価値を強化する目的でしょう。

しかし時計業界というのは本当に面白いです。この時計は14億円の価値がついたけれど、Patekからしてみたら定価 2400万円くらいの5270をチタンで作って1本提供しただけ。工場原価を考えたらもっと安いでしょう。ですがこの高額落札のニュースがハイプとなって世界を勝手に駆け巡り、チャリティ出品の栄誉や宣伝効果はもちろんのこと、自社の他モデルの商品力を支えて、過去のモデルのセカンドマーケットの価値まで高めるというこの構造。そこにPHILLIPSも絡んで、彼らにはこの14億円の時計を仕切ったオークショニアという栄誉が。さらには世界中のディーラー、コレクターまでもがこの動きに乗じて、これからの動きを読んで 利益を生むチャンスが生まれる訳です。14億円払った人は チタン製というだけで高い値段で買わされてる訳ですが、落札者は大金を払って 名を上げることが目的(悪い意味ではないですよ)ですからそんなことは百も承知で落札している。そしてもちろんこの14億円の大半は実際にチャリティに使われる訳です。

つまりこれが「商業主義の出来レース」だとしても誰一人 ズルも損もしていないという。これは考えてみたらものすごい事ですよね。こういう事を成し遂げられるのが 超一流ブランド なのだと思います。

Keywords:
Patek Philippe