LOEWEメンズコレクションを紐解く”七つ道具”、その中身は?
延期されていたメンズの2021年春夏パリ·ファッション·ウィークが、オンライン上で開幕しました。ショートフィルムを通じて発表するブランドが多い中、ジョナサン·アンダーソンが手がける「LOEWE(ロエベ)」は、12日19時(日本時間)に予定されるプレゼンテーションをまたぐ、同日午前10時から翌日9時まで約24時間にわたりデジタル・イベントを行います。これに先駆け、Ring Of Colour編集部に招待状代わりに届いた「Show in a box」。今シーズンのコレクションが詰め込まれた”七つ道具”のようなこのボックスを、藤原ヒロシさんと一緒に見てみました。
Text_MioKoumura Photo_Hiroshi Fujiwara and more
「Show in a box」とは?
画家 Marcel Duchamp(マルセル・デュシャン)の「Museum in a box」にインスピレーションを受けたという同ボックス。監修したのは、ジョナサン・アンダーソン&M/M Parisです。LOEWEが発行する限定ヴィジュアルブックの表紙と同様のキャンバス生地に包まれたボックスの中を開くと、コレクション制作のプロセスをひも解く道具がインデックスに仕切られて収納されていました。
組み立てルックや飛び出す会場など、コレクションを紐解く道具
「FBIの調査ファイルみたいで面白いね」とヒロシさん。確かに!”証拠品”が潜んでいるようにも思えるファイルを探ると、最初のスペースには『このBOXを通じて私は始まりからショーまでの過程をシェアしたいと思いました』というジョナサン・アンダーソンからの手紙。それでは、その過程をみていきましょうと、ボックスの中でも一際目立つ大きめのブックを広げてみました。中は、架空のショー会場を転写プリントで再現したポップアップブック。そこに、360度から見ることができるボックス・フォーマットに印刷された紙のルックとバックを組み立てて、配置してみたり。春夏シーズンには欠かせないサングラスも組み立て式で入っていました。ちょっと大きいけれど、実際に試着もできそう。
それらとは別に、メンズの全ルックとクルーズコレクションの全ルックはミニブックに納められています。シューズの写真はポストカードに。「全部紙なんだね。そして、モデルが着ている写真はないんだ」というご指摘通りどこを見ても人の写真はありませんでしたが、同封されていた透明な封筒の中に”人影”を発見。コレクション制作に関わったスタッフのシルエットが紙で表現されているとのこと。
ボックスと同様サイズのファブリックカードには、コレクションに使われた実際の生地のスワッチを添付。今シーズンを象徴するレザーを編んだ技術は、贅沢に1枚の紙に同じようにレーザーカットで表現されていて、一見すると本物のレザーのよう。
その場で聞くことができる手動で動かすポータブルなカードボード・レコードプレイヤーも入っていました。実際にトライしてみると「ズズズ…ズズズズ……」と何語かわからないけど何か喋っている?実はこれ、スペインにある工場の様子がDJ James Foxのナレーションと共に紹介されているレコードだそう。「家にターンテーブルあれば、かけてみたらいいんじゃない?」ということで、スペイン語はわからないけれど今度自宅でトライしてみます。
一期一会のワクワク感をどう作るか?
その他、キールックのトップスを制作できる実寸大の型紙が入っていたり(こちらはオンラインでもダウンロード可能)、「ルックは駄菓子屋にあったようなくじ引きの束みたいだし、ポストカードも懐かしい」と、全てアナログなアプローチで作られたボックスの中身。デジタルでの発表は、「一期一会のワクワク感をどうやって作り上げることができるか、ですよね。その時見たいと思わせる理由をどう作るか。そういう意味で言えば、このアナログ感は面白いかもしれない」とヒロシさん。実際に、そのショーに向けての「体験」「感触」を通じて経験を作るというこのボックスのアプローチは、ショーへの期待が高まるものでした。
最後に、ロエベとジョナサンが用意してくれたコレクションの仕掛けもさることながら、「このエビデンスボックスみたいな作り、いいね」と、ボックスのデザインと今後の用途について盛り上がったRoC編集部。雑誌を入れたいという意見に対し、「果物を入れたい」と言うヒロシさんでしたが、自宅に持ち帰った後は愛用されているギターの前にセットしたようです。
オンラインイベントは明日10時から公式サイトでスタート。スケジュールは以下からチェック。
- Keywords: