「逗子海岸映画祭」にてタイニーパンクスが約20年ぶりに復活。
映画だけでなく、音楽や食といった様々なコンテンツを用意する逗子恒例のフェスティバル「逗子海岸映画祭」が4月28日(木)から5月8日(日)までの11日間開催。ここでは映画祭の概要を紹介するとともに、藤原ヒロシと共にタイニーパンクスとして出演する高木完のショートインタビューもお届けする。
Photo_Copyright (c) ZUSHI BEACH FILM FESTIVAL All Rights Reserved. | Text_Yusuke Osumi | Edit_Issey Enomoto
映画を観ること以上の楽しみがある、1年に1度切りの特別な11日間。
映画は屋内で観るものと相場が決まっている。その理由はおそらく、劇場の発達と共に歩んできた文化であることと同時に、そもそも機材の運搬ができないなどの物理的な問題が挙げられるだろう。車に乗ったまま屋外で映画を鑑賞するドライブ・イン・シアターは大昔からあるものの、純粋な野外鑑賞とは言い難いし、誕生した経緯は割と便宜的(映画館で子供が騒ぐなど)だ。
昨今、映像関連のメディアや機材がコンパクトになったことで、日本でも大小様々な野外映画上映イベントが増えてきた。「逗子海岸映画祭」は、その先駆けとも言える存在。
開放的な野外での映画鑑賞は屋内とは違う夢見心地を味わわせてくれる。それは、環境の違いも要因となっているが、単純に映画を観ること以上に、時の経過や場、そして人との触れ合いを体感できるからだと言える。
「逗子海岸映画祭」は、開けた大空、水平線を臨める最高のロケーションに腰をおろし、映画を鑑賞できる稀有かつ大規模な映画祭だ。プロデュースするのは逗子をホームグラウンドとするCINEMA CARAVANというクリエーターチーム。彼らは旅で得た様々な文化を発信する場所として、毎年1回「逗子海岸映画祭」を開催している。
コンセプトは「映画を目で “観る” だけでなく、五感をフルに使ってカラダ全部で楽しむ」というもの。コンテンツは映画だけでなく、音楽や食、CARAVAN RADIOと呼ばれる多彩なゲストによるトークショー& DJも行われ、ゴールデンウィークの11日もの間、逗子の海岸を彩り続ける。
CINEMA CARAVANに縁がある土地のプロダクトなどが販売されるBAZAARの様子。
会場には回転木馬が出現。逗子の海岸とは思えない夢のような空間が広がる。
ここから先は、初日の4月28日(木)と4月30日(土)、藤原ヒロシと共にタイニーパンクスとしてRADIO CARAVANに登場する高木完のショートインタビューをお送りする。どんなトーク/DJを繰り広げてくれるのかは当日のお楽しみだが、何はともあれ、待望のタイニーパンクス復活である。是非とも予習をして当日にのぞんで頂きたい。
ビーチに現れるマイクロラジオ局RADIO CARAVAN では、様々なアーティスト、DJが素晴らしい音楽を提供してくれる。
高木完
61年、神奈川県逗子生まれ。DJ/プロデューサー&クリエイティブ・ディレクター。79年、パンクバンド「FLESH」に参加。81年~84年に「東京ブラボー」の活動を経て、DJへ転身。 同時に『POPEYE』、『宝島』といった雑誌をはじめとしたマスメディアに登場。『宝島』の連載「LAST ORGY」で注目を集め、今や慣用句である「要チェック」という言葉を生み出す。 ラッパー/プロデューサーとして日本の初期ヒップホップシーンを形成。88年に、レーベル「MAJOR FORCE」を設立。スチャダラパー、ECDらを世に送り出す。 90年代以降はソロアーティストとして活動。代表作に『ARTMAN』(97年)。
タイニーパンクス復活の意図とは?
——まずは「逗子海岸映画祭」に関わることになった経緯や理由を教えてください。
高木:10年以上前に知り合った僕よりひとまわり下の逗子、葉山、鎌倉の若い連中のノリ、VIBESがすごく良くて、結構みんなといっしょに過ごす時が多くなって自然に関わるようになっていったかんじです。
映画、文学、アウトドア、音楽、食事、酒、それらをいっしょに楽しむ空気……。もしかしたらかなり前はそういうのがあったのかもしれないけど、僕が逗子で過ごしてた中学高校のころはそれらが分かれていたかんじがする。でも、今はそれを同時に楽しむ空気感があって、その象徴的なのが逗子映画祭だったり、鎌倉のルートカルチャー(鎌倉のNPO/クリエイティブチーム)という集団だったりします。
——4月30日のRADIO CARAVAN にタイニーパンクスとして出演されるとのことですが、どのような内容にしようと考えていますか? また、藤原ヒロシさんとはどのような話をされていますか?
高木:もともとタイニーパンクスpresents DAYみたいなのを「逗子海岸映画祭」の1日でやりたかったんだけど、とりあえず今回はまず、RADIO SHOWから。
RADIO CARAVAN は、去年も竹中直人さんといっしょにやったのが楽しくて、竹中さんとは今年もやりますが、ヒロシとも絶対やりたかったんだよね。昔からふたりとも映画は好きでよく紹介とかレコメンを雑誌でも書いてたし、ヒロシが映画音楽を大好きなのは知っていたから。ふたりで好きな映画音楽であったり、映画に使われた音楽をかけて話すラジオショウ的なのが良いかな……と。
——今回、久しぶりのタイニーパンクス名義でのご出演かと思いますが、意図やきっかけ、目的がありましたら教えてください。
高木:確かにふたりで人前に、ましてやタイニーパンクス名義で出るのはヒロシがDJやめる前に一回CLUB ASIAでライブやって以来だから、20年ぶりかもしれません。
タイニーパンクスはラップグループ的な紹介されていたりするけど、その前にいろいろ面白いと思ったものを取り上げて人に伝えたりする……っていうことをやっていて、TVやラジオもやっていました。
そんなタイニーパンクスは80年代後半のあの時代のカルチャーがあってこその存在で、マニアックな雑誌や深夜の時間帯にしかけていく……みたいなかんじだった。あれを今やるのはどういうことか、真剣に考えたわけでは無いけれど、感覚的に面白いと思えるロケーションで、その瞬間、その時きてくれた人に何かを残せれば……と、思って提案しました。しかも上映する映画がヒロシの故郷の伊勢についての映画(4月30日(土)に上映される『うみやまあいだ』)なんです。たまたまなんだけど、なんかすごく不思議です。
『007』で魅せられた、映画音楽の面白さ。
——とりわけ好きな映画作品を教えていただけますか?
高木:今回の上映作品についてということでしたら『ガタカ』(4月28日(木)に上映)と『パイレーツ・ロック』(5月6日(金)に上映)。
映画全般、ということであれば、ショーン・コネリーのころの『007』。小学生の時にリバイバルで観た『007 ドクター・ノオ』にショック受けました。それまでは和物ヒーロー好きだったので。
——『ドクター・ノオ』で使用されている音楽も好きですか?
高木:もちろんです。
——では、映画音楽ならではの魅力を教えてください。
高木:映像のシーンが浮かび上がるのもさることながら、映像にあわせて作られた音楽だから、情景にはまったときのドンピシャ感はたまらないですね。真逆にまったくあわないときは困るっていうかギャグになりますが(笑)。音楽的には今聞き直すと昔のものはアンサンブルとか聴くとすごく面白いのがあります。
——映画音楽を面白いと思ったきっかけは何なんでしょう?
高木:やっぱり『007』でジョン・バリー(モンティ・ノーマンによる楽曲をスリリングに編曲し、誰もが耳にしたことがある007のテーマに仕立てた立役者)ですね。
ジョン・バリー編曲による007を象徴するテーマ曲。2作目の『ロシアより愛をこめて』以降、ジョン・バリーは音楽監督を務める。
——『ドクター・ノオ』以外で好きな作品を挙げて頂けますか?
高木:『ドクター・ノオ』『ロシアから愛をこめて』『ゴールドフィンガー』『サンダーボール作戦』『007は2度死ぬ』『女王陛下の007』『ダイヤモンドは永遠に』『死ぬのは奴らだ』。この中で『死ぬのは奴らだ』だけ、(音楽が)ジョージ・マーティン(ビートルズを輩出した名プロデューサー)なんですが、傑作です。
『死ぬのは奴らだ』の主題歌はポール・マッカートニー&ウイングスが担当。
第7回逗子海岸映画祭
会場=神奈川県逗子海岸
日程=2016年4月28日(木)~5月8日(日) 開場=11時~上映終了時
※4月28日(木)高木完さん×竹中直人さんのトークイベントは18:00~ ※4月30日(土)タイニーパンクスのトークイベントは16:30~18:00
映画上映=19時~ (※4月28日、5月2日、5月6日は17時開場)
入場料金=¥1,500(一般)
※高校生以下無料。 ※逗子市民は身分証明証の提示により500円。 ※詳しい上映スケジュールは下記URLよりご確認下さい。
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