2020.07.31

6264 JPS by Sotheby’s

時計に関するオークションではここ数年、PHILLIPSが一人勝ちの様相を呈していたのですが、ここに来て Sotheby’s が 色々と新しい動きを見せており、今回「 出品が JPS たった1本」というオンリーオークション を開催してきました。

HyperFocal: 0ROLEX  6264  YG 18K  PN “JPS”    320,000-650,000 GBP

このJPSとは 黒文字盤の金無垢ポールニューマンの事で JohnPlayerSpecial という海外で有名なタバコのパッケージのカラーリングに似ていることから “JPS” と呼ばれています。一般的にJPSは 6239/41 ケースに入っているのが正解とされており、6264に存在するかどうかは専門家の間でも意見が分かれているところがありました。今回の個体は 分針、クロノ針、スモール針がプレデイトナの針の流用にも見えますし、ベゼルも入れ替え…など懸念点もいくつか。しかしながらオリジナルとして存在したのならば 6264のJPSは非常にレアである。そんな見立ての個体でした。

さらにサザビーズはより多くの顧客にアピールするためにその直前のアートのメイン・セールで、ハンマーを握るオークショニアの腕に、敢えてこのJPSを装着するという プロモーションを敢行。これも大きな注目を集めたと思われます。

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確かに昨今の時計オークションにおいて、PHILLIPSは 王者ではありましたが、メインのビッダーがディーラーだったので、彼らの時計を見る目は非常にシビア。つまり入札するときに必ず EXITのプライスを考えてビットしているので、これ以上高く落とすと売るときに厳しいという、ギリギリのラインでの落札が多かったのです。そこでサザビーズは 今まで時計に興味を示さなかったアートコレクターなど、より幅広い層へのアピールを考え 今回のような大物をオンリーセールのオークションとして、戦略的に企画したのだと思われます。

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そして結果は 1,215,000GBP(=邦貨 1億6,670万円)という記録的なリザルトとなりました。今まで金無垢のポールニューマンの中では6264 レモン が最も高価と言われていましたが、これでJPSがトップとなりましたね。

今回のサザビーズはこの個体以外でも、なかなか面白い高額落札をいくつも記録しており、時計部門の新しい戦略が非常に狙い通りに機能している証左だと思われます。今後は PHILLIPS と Sotheby`s のふたつの オークションハウスが時計界をリードしていく事を予感される オークションシーズンだったと思います。

 

Keywords:
Rolex