2020.12.18

伝説的スケーターの味「PIZZANISTA!」が日本に、南勝巳と上野伸平が語る上陸まで

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 90年代を代表するレジェンドスケーターと言えば、Salman Agah(サルマン・アガー)の名は外せないだろう。彼が立ち上げたピザ屋「PIZZANISTA! (ピザニスタ)」は、ロサンゼルスのダウンタウンやロングビーチに店舗を構え、そのロゴは日本でも様々な形で語られてきた。そんな名店の上陸に「あの味が日本でも」とファンは歓喜するが、日本上陸のタッグを組む相手にSalmanが同じスケーターを擁するKINARI inc.を選んだことは、さらにその熱を高めるものかもしれない。同社を代表する「Evisen Skateboards(エヴィセン スケートボード)」の南勝巳と「TIGHTBOOTH(タイトブース)」の上野伸平、2人の仕掛け人が語る「PIZZANISTA!」上陸まで。

Photo_yuri Iwasaki, Joji Shimamoto

-本家「PIZZANISTA!」の思い出はありますか?

南勝巳(以下、南) : 俺がスケートを始めた時から、SKATER OF THE YEARという名誉ある賞をもらっていたり、もうSalmanはレジェンドでした。そんな彼が、10年程前にピザ屋を始めるって聞いた時「渋いなぁ」って心底思いました。スケーターが飲食をやること自体、Salmanが世界初だったと思います。彼らしいスケーターのセカンドライフで、単純にかっこいいなって。


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上野伸平(以下、上野)PIZZANISTA! の存在は昔から知っていたけれど、俺は実際に食べたことはなくて。この話をもらって本国に食べに行ったんですよ。元々、所謂アメリカのピザが大好でスケートでツアー行っても絶対初日からめっちゃ食べるんです。結構小さな店から大きい店まで、多い日だと一日10スライスくらい食べます。

 : 本当に、「あれ?伸平またピザ食ってる」みたいな感じ(笑)。自分は日本食がすぐ恋しくなっちゃうから、初日から和食求めちゃうタイプなんだけど。

上野 : 毎日ピザを食べてるのは チームで唯一、俺だけ。無類のピザ好きなんですよ。だからPIZZANISTA! を食べたとき、自分が好きな本場の味だったし、すぐに生地に絶妙な歯応えがあって風味が全然違うとわかったんです。トマトソースとチーズの配分も絶妙ですぐに「美味い」って。

それは最高の組み合わせですね。どういった経緯からキナリが携わることに?

南 : Salmanは昔から親交があって、実は5年くらい前に「一緒に組まないか」と誘われていたんです。彼はPIZZANISTA! を日本に上陸させたがっていたんだけど、どうしても同じスケーターと組みたいという強い思いあったんです。ただその頃はバッカーも必要だし、と足踏みしていたんです。

上野 : そう。ブランディングに関しては俺らが舵を取れるけれど、日本で本格的に展開するには飲食ビジネスのプロがいないと難しいと話していてSalmanもそこは理解してくれていていました。スケートボードも同じなんですけど、要はお金がないと良いものは作れないから。それに、そこで働く人たちの生活を守らなければいけない夢だけ一方的に追うんじゃなくてビジネスは絶対切り離せないと思っていて。

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南 : Salmanはすごく情熱のある人で「お前らだからやりたい」ということを思い続けてくれていて、俺らもそれを実現させたいと思って、色々組める相手を探してようやく今スタートが切れた感じです。

上野 : 小さい会社だけど、ものづくりとブランディング、運営とそれぞれの役割分担ができていて、思いのほかファミリー感のある地に足のついた会社になったなって。実はピザ屋をやってみたいと思ってたから、この話がだんだんと現実味を帯びてきて、「俺の夢が叶うかも」ってテンションが上がったよね。

 : そうだね。ただやりたいと思っても、畑違いの飲食店をゼロから自分たちだけでやるのは違うなって思ってたから、ちゃんとしたメンバーが揃ってようやく実現できたなって。やっぱり確固たる『PIZZANISTA!』の名前を語れることはもちろん、尊敬するスケーターと飲食を通じて組めるのは単純に嬉しいですね。

本国のPIZZANISTA!をどこまで再現してる?

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上野 : 本国に合わせたのは表のレンガくらいで他は俺らの感覚でやりました。基本的にはNista oneというアーティストと一緒に日本に合った内装を造っていった感じです。

南 : 東京らしいアーバンな雰囲気で、モダンな感じとウッドワークをミックスしてくれました。

上野 : 味はSalmanの熟練の技でしっかり美味しいものができているから。

南 : そう。日本でその味を納得できるレベルで再現するために、シェフと一緒に研究の連続ですよ。

上野 : 本当に難しかった。まず同じトマトソースが輸入できないんですよ。水も違うし。だから、本国に近いソースをシェフが研究して再現して、みんなで試食の連続。少しだけ日本人の味に寄せています。自分がピザファンなので、まずは完全に自分が納得できる味にしたくて。食べたらアメリカを彷彿とさせる味にはなっているはず。

: アメリカ感しっかりと出しながら、日本人を唸らせるみたいなのは影のテーマ(笑)。キッチンスタッフには、有名な三ツ星フレンチや、食への意識が高いオーガニックのモダンフレンチカフェを経験してきたシェフがいて、俺らの理想を実現してくれたから本当に感謝してます。

上野 : 本当に、彼の腕がいいんです。最終の試食会ではもうガッツポーズ(笑)。

– 一番人気の店の味は「Pepperoni」。看板やステッカーにもなっていますよね。

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上野 : そうですね。でも、俺が好きなのはやっぱりCheeseです。

南 : 一番安くてスタンダードなんだけど、ピザ屋の味が試されるっていうメニュー

上野 : あれは、おにぎりで言ったらシャケとか梅干しとかどの店にもある定番の味。自分はどの店入ってもどんな美味しそうな味があっても絶対チーズスライス食べるんです。

では相当期待できますね。「Tokyo」という味は新たに開発したんですか?

南 : はい、シェフが開発してくれました。

上野 : もう親子丼。 鶏の照り焼きと半熟卵が親子丼みたいな味で、あれはかなりファンができると思います。

南 : 結構アメージングですよ。コロナの影響でまだSalmanにはまだ味わってもらえてないけど、早く食べさせてあげたいですね。東京独自の味は今後も考えていますよ。試食会に来てくれたことのある同級生が日本橋の老舗鰻屋の4代目なんですが、彼と話して、日本食の料理人と何かタッグを組むのもいいなと思ってます。ピザの可能性は無限にあるから楽しみです。

上野 : TRUNK(HOTEL)FTCをはじめ、友達や近隣の人たちも食べにきてくれるし、イベントの差し入れとしても喜んでもらってるんですよ。これからもっと、ローカルに愛されるピザブランドにしていきたいですね。本国みたいに。

今後の展望は?

: ゆくゆくは色々やりたいなって考えてますけど、オープン1年はまずここで盛り上げていこうと思ってますね。

上野 : まずは安定した店舗経営ですね。まだ始まったばかりなので、日々勉強です。たくさんのお客さんに喜んでもらえて、スタッフも気持ちよく働ける環境を整えるのが一番。次の展望はそれから。間に色々なことは仕掛けていきますけどね。

: そうだね。あとは、「PIZZANISTA!はアメージングな味」だということを浸透させたいですね。また食べたくなる、行きたくなる、みたいな。日本でも、そういうピザ屋でありピザブランドに育っていって欲しいです。

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PIZZANISTA! TOKYO
住所:東京都渋谷区神宮前5-28-7 ロイヤルタウン神宮前 1F
電話:03-6805-0750
営業時間:11:00~21:00
※感染症予防のため営業時間を調整する可能性あり。
詳細はインスタグラムアカウントより @pizzanistatokyo

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