ADOLESCENCE
全編ワンカット撮影が話題のこちら。テーマは所謂「マノスフィア」なんですかね。これは「フェミニズムや多様性などが重視される現代社会では“男性こそが真の被害者である」という思想の事で、劣等感を多様性のせいにし、フェミニストを敵視する男性が増えたりと イギリスでは大きな社会問題であるとか。ただし個人的な感想としては、それだけでなく やはりタイトル通り「思春期の子供の危うさ」というものも大きなテーマだったと思います。
脚本も映像も、確かによくできていましたね。抑えた演出も見事でしたし、俳優陣の演技も良かった。現代のSNS社会に置いては、いつでも起こり得る悲劇という事なのでしょうか。話題のワンカット撮影も、これ、本当にどうやって撮影したんだろうと思わせるもので、この作品の印象に大きく寄与していたと思います。カメラの動きだけでなく、約60分の間にで 誰かの俳優が一度でもNGを出したり、エキストラが転倒したりするだけで最初から撮り直しになる訳で、「本当にワンカット撮影なのか?」という疑念の声が上がったのも無理もありません。ただしその弊害もあって 場面を切替えられない訳ですから、1つのエピソードは1つの場所でのストーリー展開を行う脚本にせざるを得ません。そういった制限も、最終的にはプラスの印象になるような構成にしていたのもよく考えられていました。
ただちょっと、色々思うところもあって「なぜ今、この質問をしないんだ?」とか、作品の演出上、物語をミステリアスにしたいがために 現実的には ちょっと無理があるところも散見はされました。また マノスフィアとかインセルとか、そういうものがキーワードとされていますが、日本人がこの作品を見た場合 これらのテーマがそこまで響くかも、ちょっと疑問ではありました。
しかしながら、全体としては良い作品には間違いなく、見ておいても良いと思います。
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