2024.07.11

Patek 5970

ここ最近、パテックのコンプリケーションの価格が安定してきましたね。長らく低空飛行だった3970も黒文字盤は高値安定で、5004はもう5,000万超えの様相。5970もプラチナだと3500-4000万という感じになってきてます。

その中では比較的新しいモデルである Ref.5970 が数の少なさもあって、3970よりも高値となり その人気が顕著になってきました。新しいと言っても 5970G の初期モデルは2004年ですから、なんともう20年の月日が流れようとしているんですね。5970についての数量的な知見をまとめると

Ref.5970
①わずか 7年間の生産期間 (2004-2010)
② 4メタル全体で 約2,800本 と推定 (3970は18年/3,600本)
③ 5970J (YG) が最も数が少ない
④WG:1,000~1,250本と推定
⑤RG:1,000~1,250本と推定
⑥YG:300本以下と推定
⑦PT:300-500本と推定
⑧PTのみ別デザイン。タキに 120 が追加で日付数字も大きい
⑨2004年ローンチ時の5970G/R の国内定価は 948万1500円
⑩最終国内定価は 5970G/Rで 1,302万円

スクリーンショット 2024-07-10 8.29.22

 

3970との比較
2004年に3970から5970へ世代交代した訳ですが、まずはケース型が36→40mmに拡大されたことが大きいですね。サイズが全く違うので もう別物の時計という感じです。そしてプッシュが角形へ変更。針もストレートからリーフへ。そしてデザイン面で最も大きいのは外周ミニッツトラックとは別に内側に別のミニッツスケールを配置。それでいてクロノグラフスケールとも干渉せず奇跡のバランスに成り立っています。下の写真を見れば明らかですが 径36mmのままではこのデザインは不可能だったので、+4mmの拡大の恩恵ですね。インデックスは逆に若干短くなっています。

スクリーンショット 2024-07-12 10.03.11

文字盤は 非常に良いデザインで、 間違いなくここ20年のパテックの中での最高傑作と言って良いでしょう。後継モデルの5270が 5970ほどの人気を得られていない点からもそれは明らかです。ただし同時に失ったものもあり、40mmへ拡大し 全体的に薄いケースとなった事や ディティールをクラシカルにしたことで 「中年男性の時計」という雰囲気が出たことは否めないかもしれません。これはプロダクトとしての完成度と高級感を求めたのですから仕方がない事なのでしょう。結果的に 36mmと40mm、ハッキリと違うサイズになった事でコレクターは自分のスタイルに合う方を選べるようになったのですから。

 

プラチナ文字盤について
画像の赤で囲んだ部分だけリデザイン。黒文字盤だけ中央下に120を何故か追加。円状に配置された日付数字の太さやサイズもUPし 全体的に余白が少なくなり派手な印象になっています。これは5970P の文字盤のみで 5971P の黒文字盤は変更なし。

2024-07-09 11.56のイメージ

スクリーンショット 2024-07-18 13.25.50

 

マーケットプライスについて
5970G/Rの販売が開始した2004-05年あたりでは 国内正規店のショーケースに並んで売られているような事は、流石に無かったですが 初見の客でも希望すれば定価で購入するチャンスは充分にありました。しかしながら2006年くらいの時点ですでにプレミアがついていましたね。2010年頃には5970Gでも2500万とかで中古が売られていた状況。その後2015年頃にパテのコンプリケーションの人気が低迷した時に大きく下がりましたが、それでも最終定価を割るようなことは無かったような印象です。その後は、大きく値をあげ現在国内で実際に動くレンジとしては5970Pで3500-4000万、他のメタルで2500-3000万というところでしょうか。

 

スペシャル文字盤について
特別な文字盤をもつ5970には かなりの数 作られていて、把握しきれるものではありませんが 有名なものだけでもここでいくつか紹介しておきましょう。

①2010年に作られたセット(サーモン5970G / シャンパン5970J /サーモン5970P / ブラック5970R)*ともにスペシャル文字盤= 12時にローマ数字 インデックスはドットマーカー。

スクリーンショット 2024-07-10 8.57.03スクリーンショット 2024-07-09 14.07.41

 

② 2015年にロンドンのエキシビションで提供されたセット(ブロンズ5970J / サーモン5970G)これは5970の販売が終了してから4年後の復刻生産であった。*ともに文字盤デザインはノーマルでストップ針が白。

スクリーンショット 2024-07-09 13.58.46

 

③ エリック・クラプトンのために作られたBreguet セット( 5970G / 5970R)文字盤が特注のブレゲ数字インデックス で 更に良個体ともブレス付属。

スクリーンショット 2024-07-10 8.48.48

 

④エリック・クラプトンのために作られた2499セット。2499の4thダイアルをイメージした完全に専用デザインのスペシャル文字盤。ブレゲ数字使用。これはもう全然違うデザインですから 彼だからオーダーできた逸品という感じですね。ケースは全てプラチナで 3カラー作られてます。

スクリーンショット 2024-07-10 0.24.27

 

⑤非常に珍しい 5970 の PULSATION DIAL (脈拍を測定するためのスケール付)。ブラック文字盤の方は外周デザインを変えただけですが、特筆すべきはシルバー文字盤の方で、トラックがダブルパルスになっており、文字盤全体のデザイン、インデックス、日付フォントのデザインも全て違う。ムーンフェイスの下に不思議な位置にSWISSのプリントまで。

スクリーンショット 2024-07-15 10.02.18

 

⑥その他にも ホワイトハンズ5970P / チョコレート5970R / ブラック5970J / ブラック5970Rなどの スペシャルオーダー個体は多数。

スクリーンショット 2024-07-09 15.47.02スクリーンショット 2024-07-10 8.40.44

 

⑦ 5970 Tiffany ダブルネームに関しては 5970G / 5970R / 5970P で確認済 ですが、5970J のTiffanyもあるのかもしれませんね。3970 の Tiffany よりは確実に数が多いと思います。

スクリーンショット 2024-07-10 0.36.51

 

 

 

Keywords:
Patek Philippe