2020.02.02

S.M.A.K

ベルギーで一番有名な現代美術館 S.M.A.K で2018年に開かれたリヒター展。全部で48点の展覧会ですが、展示センスが素晴らしかったです。

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で、この時のこの作品

スクリーンショット 2020-02-02 19.50.58「Blanket」  1988 ,Oil on Canvas ,200x140cm

このタイプのアブストラクトの作品は世界に3点しかなく(日本にうち1点が来てますね)、それも下には 元は違う具象の絵(人物や静物や風景)が描かれていて、その上に重ねて描いて、アブストラクトとして生まれ変わらせた作品でした。この時 S.M.A.K に展示されていたこの作品は、実はMOMA所蔵の有名な15点の連作 「October 18, 1977」のために描いたけれど、最終的な15点に選ばれなかった作品なんです。

この連作については 赤軍との関連性を含めて、わかり易く解説したサイトがあるのですが、そこでも触れられているように「最終的な連作には1枚しかないのに アトリエの写真には同じような構図の絵が2枚写っている作品」があるんです。そう、このうちの1枚の上に白を塗ってアブストラクト作品に生まれ変わったんですね。

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恐らくこの左側の方が連作に選ばれて、右側の作品がボツとなり後年、アブストラクトになったのでしょう。作品の左上あたりを見るとよくわかります。

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こういう作品はリヒター でたまにあります。風景画を塗りつぶしたアブストラクトなども時々あって、元の下絵のタイトルがついてることもあって面白いです。特にこの作品なんかは元がMOMAにある有名な連作の1ピースですから、所有者にとっても満足度は高いわけです、こういうのも作品の楽しみ方の一つだと思います。贅沢なお話ですけれど。

 

ちなみに日本に来てたのはこちらの作品。先ほどの作品の半分くらいのサイズ感でした。この下絵が何だったかは また別の機会に。

IMG_7623Abstract Painting (Ravine) 1996 , 0il on Canvas ,82x62cm

 

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Drawings