2024.01.27
「田中小実昌エッセイコレクション<5>コトバ」 田中 小実昌
本書では翻訳家としても活躍した、僕の祖父で著者、田中小実昌のことばの哲学が記されている。
本作には入っていないが、著者が残した「うしろからおされて、やっとのこのこ前へ」という言葉がある。作家として名を残したが、20代の頃は香具師に米軍施設にと職を転々としていたそうだ。キャリアも人生設計もなかったが、だからこそ柳のような芯の強さが備わったのだろう。
上手な生き方をググればキリがないけれど、自分の置かれたコスパの悪い環境を受け入れることから始まることもあるんじゃないかな。
◆「OPEN BOOK」代表の田中開が選書するequaland SHIBUYAの『グラスを傾けなくても心に触れる本棚』。その中から田中開がRing of Colourにちょっとだけ語りたい一冊を紹介する不定期連載です。
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