2018.08.08

清永浩文と荒木信雄が語る”コンビニ”と、そのビハインド・ザ・シーン

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 例えば、新しい商品に出合うため、意を決してコンビニへ行くなんて話はまず聞かない。いかに身近で、気軽に利用できるかこそがその生命線だからだ。あえてそんなコンビニを新店のコンセプトに掲げた藤原ヒロシ。注目必至のこの新企画を支えるSOPH.代表 清永浩文と建築家 荒木信雄は、そこにどんな奥行きを見たのか。

Photo_Ko Tsuchiya | Edit&Text_Rui Konno

−−本題に入る前に、まずお二人の関係について伺えればと思います。初めて出会ったときのことは覚えていますか?

荒木信雄(以下、荒木):覚えてますよ。清永くんが「SOPH.」を立ち上げる前だったよね。

清永浩文(以下、清永):そうだね。「SUPREME」の代官山のショップの内装を荒木くんがやったときだね。日本の一号店。僕もそのときワングラム(現SUPREME JAPAN)にいたので。「SUPREME」の代官山が98年オープンだから、967年かな。

荒木:そのときに会ったのが最初だね。僕はまだ福岡拠点で、東京に事務所を借りる前だったからその2箇所を行ったり来たりしていて。

清永:当時は荒木くんの作品ってまだ東京にはなかったね。

荒木:そういえば、東京に来るようになったきっかけも、97年に始めたヒロシさんの別の依頼だったなぁ。それは建築の仕事だったので時間がかかって、後から引き受けた清永くんの店の方が先に出来上がっちゃったんだけど(笑)。

−−それ以降は度々ジョイントするようになっていますよね。

清永:そうですね。98年に、荒木くんと僕と、SILENT POETSの下田(法晴)くん、カメラマンの内田将二くんの4人で“FOR”って名前で事務所をシェアして。

荒木:その辺のお話しは結構してるよね。

清永:うん。それで、「SOPH.」っていうブランドロゴのグラフィックを下田くんに頼んだんです。99112日に初めてお店をオープンするんですけど、そんな理由で隣の席に荒木くんがいたから、じゃあ店は荒木くんにお願いします、って(笑)。一番最初にやるときは、男2人旅みたいなのをやったよね? 伊勢に行ったり、京都行ったり。

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荒木:行ったね。お店を作る前に。建築を見て回ったりした。

清永:コンセプトを話し合ったりもしたしね。強化合宿じゃないけど、日本の良い建物を見に行ったり、侘び寂びとかジャポニズムをどんな風に入れるか話したりしたんです。「苔を生やすか……!」ってとこまで行ったけど、結局それはやらなかったですね(笑)。でもちょっと忍者屋敷的というか、和な感じは入れました。1店舗目を作ってからは、荒木くんが勝手に作ってるような感じ。

荒木:いや、勝手には作ってないけど(笑)、いろんな地方で「SOPH.」のお店をつくるじゃないですか? その地域性に合わせてアレンジしつつ、変わるものと変えないものを設定していく感じですよね。コンセプトは最初に決めてるから、そこがブレないように。

清永:オフィス入れて25案件くらいやってもらってるんじゃない? 僕が荒木くんの一番のクライアントかもしれない。

荒木:数でいったら間違いなくそうだね(笑)。

−−そんな勝手知ったるお2人が新たに関わったのがこの「THE CONVENI」というわけですね。今回は「the POOL aoyama」、「THE PARKING GINZA」に続く第3の試みですが、コンビニというコンセプトが決まった経緯を教えていただけますか?

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清永:これは答えるの、俺じゃない方がいいな(笑)。

荒木:少し前に僕がヒロシさんと一緒に「retaW」のショップをやった時、ディスプレイの一つをコンビニの陳列棚っぽくつくったんですよ。具体的にいつ、今回のコンビニっていうコンセプトが明確に決まったかはよく覚えてないんですけど、それが伏線にはなってる気もしています。Ginza Sony Parkの辺りはコンビニがあまりないし、そういうことも含めてヒロシさんの嗅覚に引っかかる、何かがあったんでしょうね。

−−清永さんはそんなコンセプトを聞いた率直なご感想は?

清永:僕はどっちかって言うと調整役なので、今回も運営とか大変そうだなって(笑)。

−−本当のフランチャイズのコンビニ店長みたいな悩みですね(笑)。

清永:そうですね(笑)。だけど面白い発想だなって。

−−お二人のコンビニの利用頻度はどのくらいですか?

荒木:僕はヘビーユーザーですよ。事務所の1階がセブンイレブンだし。僕はセブンイレブン派なんですよ。ヒロシさんはローソン派と聞きました。

清永:そういうのがあるんだ(笑)。僕も結構ヘビーユーザーだけど、特にこだわりはないなぁ。ただ、セブンイレブンが好みのものは多いかも。お菓子とかは、ファミマよりもセブン派。

荒木:ファミマはチキンだよね。

清永:うん。お菓子コーナーの中でも、オリジナルがあるじゃない?あと、つまみっぽいお菓子、大人のベビースターみたいなのとか。その辺のセレクトがセブンイレブンは良くて……ってなんの話だ?これ(笑)。

荒木:ハハハ(笑)。でも銀座ってコンビニが本当に少ないよね。「THE CONVENI」から駅に行くコンコースのところにセブンイレブンの超人気店があるんですよ。レジが7台あるのに、いつもめちゃくちゃ並んでる。そこはスタッフも相当優秀で、ガンガンレジを捌いて回してる。

清永:僕らの「THE CONVENI」もレジ捌きは勝負だよね。レジ打ちのプロを入れてくれ!って言ってるんですよ、ずっと(笑)。

−−改めて、「THE CONVENI」に関わっている方々と、その役割分担を教えていただけますか?

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清永:商品面のディレクションは源馬(大輔)くんで、グラフィックとウェブデザインはmo’designの溝口(基樹)さん。で、空間は荒木くん。実際の運営はJUNっていう構図で、トータルのディレクションがヒロシさんですね。僕はクリエイターと企業の通訳みたいな感じかなぁ。バランサーというか、言ったらボランチみたいな。

荒木:ボランチ(笑)。Ginza Sony Parkはソニー企業株式会社がオーナーなんですけど、社長の永野さんもキーパーソンですね。

清永:SOPH.2000年にソニースタイルとコラボしたことがあって、そのときの担当者が永野さんだったんですけど、そこからの付き合いで。もともと「THE PARKING GINZA」もラジオでヒロシさんが「駐車場で何かやってみたい」って話してたのを永野さんが偶然聞いて、そこから始まったんです。

 荒木:多分、ヒロシさんからすると清永くんはそうやって大企業との仕事とかを先陣を切ってやってきたから頼りにしているんだと思うよ。JUNさんから紹介してもらって始まったビックリマン チョコとのコラボとかも含めて。僕は大変そうだなって思いながら横で見てた(笑)。

清永:まぁね(笑)。他にもthe POOL aoyamaのときには「ブラックモンブランとのコラボとか良いんじゃない?」とかって適当に言ったら、あ、本当にやるんだ……って(笑)。ああいうのってやってみたいけど、小規模なノベルティにはできないじゃない?

−−「SOPH.」は醤油差しやキャラメルクリーム、傘やカッターまで、昔からノベルティに力を入れてますもんね

清永:ノベルティアカデミー賞があったら、ウチは獲ってると思うんですよね(笑)。

荒木:(笑)。まぁ、でも「SOPH.」のお店と同じように、今回の店づくりでも地域性は大事にしましたよ。

−−地域性と言えば、昨年オープンした「KIYONAGA&CO.」はそういう意味でも実験的なお店ですよね。

清永:そうですね。実はそれも今回の「THE CONVENI」とつながっていて。最初青山でthe POOL aoyamaをやる前も、例えば東京に来た外国人の人とかに紹介するようなお店ってあまりないな、とずっと思っていて。例えばパリに行ったらコレットでお土産を買って帰るとか、そういうことができるじゃないですか? 東京にもそういうスーベニアっぽいものを扱うお店があったらいいなっていうイメージは元々持ってました。「KIYONAGA&CO.」も、福岡にしか置いてないスーベニアを作りたいっていうのがあって。僕は「SOPH.」をやって20年経つんですけど、今ってブランドはすごく親切にしないといけない時代なんですよね。何がいつ発売で、欲しい人は何時から並んで、って情報も全て提示しなきゃいけない。だから、その真逆をやりたくなったんですよ。天邪鬼ですよね。卸もやらない、ネットもやらない、福岡でしか買えない、情報も入ってみないとわからない。本当に不親切なお店ですよ(笑)。でも昔はあったと思うんですけど、実際にお店に行ってみないと何があるか分からないというワクワク感をもう一度提供できたらなと。それが小さい規模だったらできるかなって。

−−THE CONVENI」にもそこで得たアイデアが生きているんですね。今回は新作の発売等はアナウンスするんですか?

清永:そうですね。the POOL aoyamaとTHE PARK・ING GINZAではオンラインでの発売は実店舗の1週間後だったんですけど、今回は同時にしようかなと思ってます。前はお店に来てくれ~、と思ってたんですけど、今は来られすぎても入れなくなっちゃうから来すぎないでって感じなので(笑)。もちろん、藤原ヒロシだからっていう期待値もあるでしょうし。

荒木:地下鉄のコンコースだから、通りすがりで見たい人も多いだろうしね。

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清永:そのときは「ウェブでも買えますから、そちらで探してみてください」って案内するしかないかなぁ。入るのに時間がかかっちゃうかもしれないから。

荒木:そこは全然コンビニエンスじゃないよね(笑)。

清永:(笑)。でもまぁ、藤原ヒロシのコンビニを楽しんでください、って思ってます。不慣れなオペレーションでご迷惑をかけたらすみません、って。でも、実はすでに新規出店の依頼が来てるんですよ。まだオープンもしてないのに(笑)。

−−チェーン化の兆しも見えますね。内装はどんなものになっているんですか?

荒木:それはもう、ザ・コンビニですよ。ヒロシさんもインタビューで答えてましたけど、最初は空間をまんまコンビニっぽくつくればそれっぽくなるのかなと思ってたんです。だけど、やっぱり物量、品数とかがないとそうはならなくて。スタッフも今までのthe POOL aoyamaTHE PARKING GINZAみたいなオペレーションだと追いつかないし、いろんな意味でコンビニっぽい振る舞いを身につけないと回らない。内装とか、空間とかも確かにコンビニらしいんですけど、主役はやっぱり商品と人だっていうことを改めて感じました。

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−−なるほど。やはり商品構成も気になるんですが、少し教えていただけますか?

荒木:先行して発売してるのはビックリマンチョコだよね?

清永:僕も一箱もらって食べたよ(笑)。懐かしいよね。インスタのハッシュタグとか見ると、結構みんな大人買いしてるなぁ。

荒木:あとは、Tシャツがペットボトル型の容器に入ってたりね。コンビニ袋をイメージしたショッパーとか、プラスチックのお皿とか。

清永:缶の中にはトートバッグが入ってたよね。「WTAPS」にビニ傘とか3色ボールペンをつくってもらったり。あと、「WTAPS」で言えばビニールテープなんかもあります。みんな、普段自社じゃやれないことを楽しんでるのかな。

−−それがたくさん並ぶとかなりコンビニっぽくなりそうですね。すでに話題にもなっていますし、注目度も高そうです。

清永:それが僕はいまだにゾッとします。だってコンビニのこの大きさですよ?

荒木:やっぱりスタッフにもちゃんとオペレーションを徹底して、コンビニらしい振る舞いを身につけないとお店が回らないなと思っています。

清永:そうだね。ちなみに、営業時間は11時から7時(19時)までです。24時間っていう案もあったんですけどね(笑)。

■THE CONVENI
住所 : 東京都中央区銀座5-3-1 B1
公式HP

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