2021.04.17

「皆んな同じ顔をして笑っている」ようこそ、シニカルポップなFACEの世界へ

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「皆んな同じ顔をして笑っている」———。シニカルポップな世界を描き続けるアーティスト、FACEの5年ぶりとなる個展「Taking Peace for Granted」が東京・原宿のGALLERY TARGETでスタートした。

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FACEのシグネチャーとなる”笑う顔”は、今や誰もが一度は見たことがあるだろう。どこかとぼけた印象のあるその顔は、連なる目と広角が高く上がった口が常にセットで描かれ、時折福笑いのように、ずらしたり、反転させることで、作品は大きく表情を変える。200mm×200mmの20作品から構成されるtoyboxでは、おなじみの女性の表情が小さなキャンバスの中で、時には顔の枠を飛び越えて大きく移り変わりその可能性の幅を垣間見せる。絶妙な構図とシーンの描き方もFACEの持ち味で、本展のインビテーションにもなった大判作品”見えないナイフ”では、後ろ姿の3名の向かいに立つ笑う女性がどうにもシニカルだ。愛想笑いのようにも見えるし、何かを取り繕うとしているのかもしれない。また、師と仰ぐMHAKとの共同制作や、陰影のある描写で描いた作品など、本展では描き溜めてきた近年の大判作品の数々が一望できる。

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さらにキ◯ィやオ◯ーブ、ミッ◯ィなど、おなじみのキャラクターがモチーフになった異色の作品も加えられており、中でも顔のないキャラクターと机に落ちた大量の目に、”探し物”と名付けられた作品には、皮肉めいた遊び心を感じざるを得ない。

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展覧会のタイトルの「Taking Peace for Granted」は直訳すると「平和を当然だと思うこと」。要は、”平和ボケ”という意味だ。FACEはこれについて「この顔自体そういう背景から生まれたもの。9.11が起きた時、すごく悲惨な映像がたくさん流れるなか、僕の目には日本人はどんな悲惨な状況であってもどこかニコニコしているように映ったんです。それ以降、平和をテーマに思いのまま作品を描いてきたのですが、日本人独特のこの空気感や緩さを表現する中で生まれたのがこの顔でした。それから20年、コロナで同じような風景が広がっている今、このタイトルはぴったりだと思った」と語っており、時世と作品のルーツが重なりあったようだ。

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顔から表情を読み取り、その場の「空気を読む」。日本と台湾にルーツを持つFACEはこの日本人的感覚を揶揄しながらも、見るものに奥に潜んだ物語を想起させる。「そもそもこれが顔なのかどうか、僕も(確信を)持ってはいない。顔と勝手に思っているだけで、実際はそうではないかもしれない」とFACEは言う。そもそも表情から読み取れるものは存在しないのかもしれない。それでも真意を探しに、提示されたものの奥へどこまでも広がるシニカルポップな世界を浸ってみてほしい。

■Taking Peace for Granted
会期:4月16日(金)- 5月1日(土)12時-19時
会場:GALLERY TARGET
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前 2-32-10 *祝日・日曜休廊
公式サイト

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