水槽は社会の縮図?BOTTERとコラボした”もがく”ルアー作品がDSMGに初上陸
ルアーが四角い水槽の中央でぷかぷかと浮かび続ける“A Lure”と呼ばれる現代アート作品が、Dover Street Market GINZA(以下、DSMG)に特設された。作者はアムステルダムを拠点に活動するアーティストCiro Duclos(シロ デュクロ)。Rushemy Botter(ルシェミー・ボッター)とLisi Herrebrugh(リジー・ヘレブラー)のデザイナーデュオが手がけるアントワープ発の気鋭メンズブランド「BOTTER(ボッター)」とのポップアップショップで6月8日まで見ることができる。
Ciro Duclosは、オランダのThe Royal Academy for Visual Arts (ハーグ王立美術学院)で学んだ後、自身のアート集団Indebt Studioを設立。日常品を使ってありふれたものを発展させることで、思い込みや先入観に疑問を投じる作品で評価を得ており、2020年には有望な若手芸術家に与えられるFKピケット財団によるピケットアート賞にノミネートされた。昨年開かれた、DAZED KOREA協賛のアートフェア「Future Society」に続き、アジアでの展示は2度目。日本では初紹介となる作品とともに、Ciro Duclosも初来日を果たした。
ミラノでの展示
“A Lure”は「BOTTER」の2022年春夏コレクションの発表とともにイタリア・ミラノで初公開。コラボレーションは、長年Rushemy Botterと友人関係だったというCiroが、前シーズンのコレクションで発表されたルアーのネックレスを見て連絡したことがきっかけとなった。
「“A Lure”の構想は4年前。実現するために技術的な問題が上手くいかず、何度もトライをしていました。そんな時に、ルアーのアクセサリーを見て『なんという偶然だろう』と嬉しく思い連絡したところ『それは偶然じゃない。同じ時に同じものを見ていたんだね』という返事が返ってきて。互いにコレクションとこの作品が完全にマッチすると確信し、ともに発表することに決めました」。
海洋問題への意識をクリエイションにと落とし込み、コレクションを発表している「BOTTER」と、社会への問題意識を様々な手法を通してアートに反映させている彼の作品にも共通点を見出すことができる。ミラノでの続き、2度目の展示となるDSMGでは、空間と調和するように少しだけ小さなボックスに変え、新たな作品をとして自ら設置した。
ポンプの水流に逆らうようにルアーが動く“A Lure”は、一瞬たりとも同じ動きをしない。ルアーはBOTTERが使用したものと同じものを使っているという。「子どもの頃から釣りが好きで、なかでもルアーには一番の興味がありました。魚と同じ形で、生きている魚を惹きつけ、罠に嵌めることがとても魅力的で、現代社会にも重なるように思えたのです。人間も何かに誘われ、捕まって動けなくなってしまう。箱の中に収めたのもそうした縛られた社会の縮図にも重なると感じたのです。同時に鑑賞する人にとっても、このボックスの中の水に反射する光や波の美しさ、そして何よりルアーの動きに心を奪われ囚われて観てもらえるのではないか」。
一般公開は初の機会。DSMGという場で披露することに対しても喜びを語るCiroは最後にこう続けている。「BOTTERのコレクションは芸術的でロマンチックですし、自分の作品にもそれに共通するロマンがあると思います。BOTTERはただのファッションブランドではなく、ファッション以上の何かを求めているアーティステックなブランドです。そんな彼らとコラボレーションできたことを嬉しく思います。」
■BOTTER POP UP STORE
期間:2022年5月14日(土)〜2022年6月8日(水)
開催場所:DOVER STREET MARKET GINZA 2階
住所:東京都中央区銀座6-8-5
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