「人間は誰もが芸術家である」大衆と政治を繋ぐJoseph Beuysのポスター展
「人間は誰もが芸術家である」と主張した戦後ドイツを代表する芸術家Joseph Beuys(ヨーゼフ・ボイス)。「芸術とは、人間が自らの持つ創造力を用いて新たな社会を作り出そうとする全てのプロセスである」。そう唱える彼のポスター作品にフォーカスした展示が、渋谷のMIYASHITA PARK内にあるギャラリー「SAI」で開催されている。
Joseph Beuysは、当時は芸術とはみなされてこなかった政治的な活動までも芸術活動として考え、出馬活動や、社会参画を人々に促す集会、アクション、呼びかけも「作品」として表現してきた。なかでも、政治的ステートメントや問題提起を発信し、大衆の社会参画を促す大きな力を持つポスターは、彼にとって重要な一つの作品群でもある。
Beuysはポスターを、思想や主張を大量にばらまき、そこに描かれる以上のことを想像させるのに好適なメディアと定義し、自身の顔や姿をたびたび登場させることで見る者に強烈な印象を残し、カリスマ的イメージの形成に繋げたとされる。その一方で、彼が残した約290種類にものぼる作品は、本人がデザインや文字組などの細かい指示は行わず、デザイナーやプリンターに殆ど全ての工程を任せて制作しており、他者との共同作業により成り立つポスターの制作段階をも伝統的な芸術観を打ち破る象徴的行為として考えていたとされる。
本展は2014年に閉館した清里現代美術館の伊藤修吾・伊藤信吾による膨大なポスターおよび書籍のコレクションを元に企画。Beuysのポスター作品とあわせて、彼が教鞭を執ったデュッセルドルフ芸術アカデミーを通じて交流のあっ た作家、Blinky Palermo(ブリンキー・パレルモ)とGerhard Richter(ゲルハルト・リヒター)、そして国際的パフォーマンス集団、Fluxus(フルクサス)で活動を共にしたJohn Cage(ジョン・ケージ)の作品も合わせて展示する。
■BEUYS POSTERS 2021
会期:2月9日(火)まで
会場:SAI
住所:東京都渋谷区神宮前 6-20-10 RAYARD MIYASHITA PARK South 3F
開館時間:11:00-21:00(無休)
問い合わせ先:03-6712-5706
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