2021.01.01

その裁きは死

2018年の「カササギ殺人事件」で世界各国のミステリランキングを総ナメで受賞。翌年の「メインテーマは殺人」でもまたもランキングを席巻した、今やミステリ界での世界ナンバーワンの売れっ子と言っても良いアンソニー・ホロヴィッツの新作。今回は「メインテーマは殺人」の元刑事のホーソーンが活躍シリーズの新作に当たるもの。

警察の要請で難解な事件を捜査している元刑事のホーソーンが、作家アンソニー・ホロヴィッツ(=作品の登場人物でありながら、この作品の実際の著者本人であり、完全なメタフィクション構造になっている)にその顛末を本に書いてくれと依頼。この2人が事件を解決を捜査して解決に導くというこのシリーズ。もちろんそこにはシャーロック・ホームズとワトソンの関係になっているのですが、設定はいわゆるフーダニットな古典的なミステリの世界観。

その仕掛けも鮮やかなのですが、作家本人が捜査にワトソン役で加わるというこのメタフィクション構造が素晴らしい。しかもそこに出てくる設定(例えばホロヴィッツが現実世界で本当に脚本を手がけるドラマの話が出てきたり、執筆中の新作の話や、家族などのプライベートな設定まで)がほとんどが現実の事実と同じというのが凄いです。ここまでの構成で作品を生み出した作家はこれまでいなかったでしょうね。海外の本格推理モノが苦手な人でも、ギリギリ楽しめる読みやすさになってますので、興味ある方はぜひ、この機会に。

 

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