Maiko Kurogouchi 2020-21年秋冬コレクション「編む-EMBRACING」
寒空の下開幕した2020年秋冬シーズンのパリファッションウィーク。トップバッターは「Maiko Kurogouchi(マメ)」の公式参加による2度目のランウェイショーだ。
Photo_yuri Iwasaki
2020年秋冬コレクションは先シーズンから続くテーマ「包む」を深化させた「EMBRACING(編む)」を掲げ、”人を包み込む柔らかな籠”という感覚の再現を試みた。
岡秀行の本「包む」に起点した先シーズンに引き続き、今季も同書籍からヒントを得た。岡が記録した手編みの籠やそれらが作り出す自然な格子柄に感じた「日常から生まれた叡智の結晶」。そこから旅したアイスランドの広大な自然に、黒河内は自身が地球という籠に包まれ、守られている存在であることを認識し、コレクションの根幹でもある身体を覆い、守る籠というシェイプに辿り着いたという。
ランウェイを彩ったカラーパレットはブラック、エクリュに、褐色がかったブラウンを加えたアースカラー。アイスランドの自然へのリスペクトはコレクションのディテールを彩るフローラルモチーフに、陽の光を反射し輝く朝露の記憶を光沢のあるフィルム素材でわずかにきらめくトップスやパンツへと生まれ変わった。体を丸く包み込む上半身のシルエットや長めに取ったカフスがレイヤードすることで際立ち、また、水引のテクニックにも着想された1本の線から生まれる多彩なコード刺繍がジャケットには大胆に、袖には丁寧に取り入れられ、観客の目を引いた。
ジュエリーもまた、広大な自然に着想。ゴールドでデザインされたイヤリングやチョーカー、バングルが控え目なカラーパレットに華やかさを添えている。また、コード刺繍はポーチやシューズなどにも応用。ブランド初となるバックパックの他、アイコニックなPVCバッグはシーズンカラーのブラウンで登場させるなど小物も充実している。
また、3月に発売が予定されているTod’s(トッズ)との協業コレクションの中から、レザーサンダルが登場。日本の伝統的なこぎん刺しを想起させるモチーフがイタリアにのアルチザンによって丁寧に施され、上質なエレガンスを感じさせた。
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