藤原ヒロシとタグ・ホイヤーCEOが語るコラボレーションタイムピース
11月20日に発売され、既に初回入荷分が完売となった「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー 02 by Fragment Hiroshi Fujiwara」。世界限定500本、87万円の腕時計である。発売同日に行われた新作発表会では、LVMH ウォッチメイキング ディヴィジョン会長であり、TAG Heuer CEOのJean-Claude Biver(ジャン-クロード・ビバー)と藤原ヒロシが、このタイムピースが生まれた経緯や想いなどについて語った。
Text_Saori Ohara| Photo_Tag Heuer
Jean-Claude Biverははじめに、「この時計は私が初めて一切の干渉をせず、変更をせず、コメントをせず、ただただ受け入れた時計です」とコメント。そして、「このパートナーシップが私にとって特別である更なる理由は、これが初めて私の息子のリクエストによって実現したものだからです」と続けた。氏は穏やかに笑いながら、「私の息子は今18です。その彼が9ヶ月前、『パパ、21世紀に親和性のあるものを作りたいなら、ストリートのPope(父/法王/最高権威)と仕事をすべきだよ!彼の名前はヒロシ・フジワラっていうんだ』と私に言ったのです。『What?』という私に、力強く『YES!』と返した当時17歳の息子ピエールのおかげで実現した、素晴らしいプロジェクトです」と、このパートナーシップ誕生のきっかけを明かした。
一方、オファーを受けた藤原ヒロシも、「通常、デザインを頼まれる時っていうのは、相手が僕のことを知っていて、さらに僕と仕事をしてストリートのマーケットにも……ということが多かったり、そう思われがちなのですが、今回はそうではなく、僕のことは全く知らずに(以前ZENITHで手がけた)時計のデザインだけを見て、『是非この人とやってみたい』と言っていただいたのがすごく嬉しかったですね」と話した。そしてベースとなった1963年の「カレラ」オリジナルモデルを選んだ理由として、「もともとヴィンテージウォッチが好きでリサーチをしていたのですが、多くのデザインの源の一つとしてカレラがあったので、やはり最初にデザインするなら憧れのあるカレラがいいなと思っていました」と語り、そこに施した小さ目のケース、2つのストラップのデザインについて聞かれると、「よりシンプルに。そして何を作るときもそうなのですが、基本的に自分が身に付けたいものを作るようにしています」と答えた。
Jean-Claude Biverもこれを受け、「私が何より嬉しいのは、彼が自分自身が欲しいものを作ったということです。私たちのための商品ではなく、自分が欲しいと思えるものをつくるからこそ価値があり、オリジナルであり、オーセンティックなのです。それは今の時代とても重要なことだと思います」と返した。
既に初回入荷分が完売し、今後も入手困難でレアなタイムピースとなったこの時計に対しJean-Claude Biverは、「完売したということは美しいということ。美しさとはレアなものです。そしてデザインとは美です、デザインとは愛情でもあり、デザインとはテクノロジー、デザインとはアートです。だからこの時計がレアになったのは必然的なことです」と締めくくった。
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