RANGE ROVER SPORT
新型のレンジスポーツが発表されましたね。VELAR の発売以降 レンジスポーツの立ち位置が微妙な感じになっていたので、新型ではその辺りがひとつのハイライトに。デザインを見るとやはり難しかったのかなという印象。
個人的な意見ですが、レンジローバーのデザインは本来は縦方向に長さをとることで生きるデザインだと思うので、ボディや車高を小さくしていくとレンジ特有の伸びやかさや上品さが失われて デザイン的に苦しくなっているような気がするんです。
例えばサイドからのこの写真を見ても SPORTはルーフを下げてガラスエリアをボディ後端にかけてガラスエリアの面積を 絞っていっていますよね。こうすると 確かにスポーティ感やモダン感 は出るんですが、 「スポーツカーになりたくて」という90年代のようなニュアンスも出てしまい、 逆にちょっと 古い価値観のデザインに見えますね。
とは言っても VOGUE に似てしまうと意味がないし(しかも名前が SPORT ですから)結局はルーフを下げた この方向でデザインするしかなく、どうしても難しいデザイン仕事になるのでしょう。しかも下のクラスの VELAR と EVOQUE とも差別化しないといけない訳ですからね。そう考えるとレンジローバーという1つのイメージで 車種を4つも作り分けるという前提条件が そもそも難しいのかもしれません。
もちろんフロントもデザインそのものは悪くありません。ただヘッドライトを天地に薄くすればすればするほど スポーツカーに近づいて「レンジローバー感」からは離れていくと言いますか。また過度なスポーティ感を付与することが、そもそもSUVとしてかっこいいかという問題でもあります。
リアもボディ両端に面とエッジを立てて、新しい試みも見られますが、縦方向の構造物がなく、リアガラスやテールランプも天地に薄く横長イメージですから、結局は「大きなイヴォーグ」といった感じになりますよね。この派手なテールパイプも90年代に見えなくもない。
そう考えたらVOGUE はガラスも上下に長く、テールライトを縦に置いたことで厚みが出て、いかにもレンジローバーの伝統的なデザインに見えるようにデザインされているのがわかります。マフラーレス仕様も効いてます。
もちろんこれはどちらが良いという訳ではなく、好みの問題です。スポーツのこのデザインで別の客層を取り込む狙いもあるでしょうから、これはこれで理解できますし。古典的なレンジ・ルックを好きな人はVOGUEを。最近のヴェラール感が好きな人はスポーツを選べば良いという事なのでしょう。
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