2022.04.26

KYOTOGRAPHIE

写真家ルシール・レイボーズと照明家仲西祐介の発案により、2012年にスタートした「KYOTOGRAPHIE(京都グラフィー)」が、2022年に10回目開催とあって盛り上がっています。今年は「ONE」をテーマに、世界各国のアーティスト20人と1団体による個性豊かな10の展覧会が開催。なかでも、これだけは押さえておきたい4展をピックアップしました。

Guy Bourdin
『The Absurd and The Sublime』
@京都府京都文化博物館別館

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2021年9月に東京・銀座のCHANEL NEXUS HALLで開催されたギイ・ブルダンの「The Absurd and The Sublime(滑稽と崇高)」が巡回。本展では、キュレーターのインディア・ダルガルカーが山口小夜子をモデルに起用した作品や、彼の創作過程を辿ることができるポラロイド写真、雑誌のアーカイブを追加してスケールアップしています。京都府京都文化博物館別館に特設された迷路のような会場構成も見所のひとつ。2階では貴重な記録映像が上映されています。

Prince Gyasi
『いろのまこと』
@ASPHODEL / @出町桝形商店街

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1995年生まれのPrince Gyasiは高校生の頃にiPhoneで撮影した作品で注目を集め、Appleとのコラボレーションやファッション雑誌などを経験。今や20代半ばにアフリカの現代アートを牽引するヴィジュアルアーティストの一人として知られています。故郷であるガーナの首都・アクラの風景やコミュニティをミューズに制作された作品は、色と色、柄と柄を独特のセンスで組み合わせることでアフリカの見えない問題や課題をも可視化したもの。会場を飛び出し出町桝形商店街では、市場という人の営みの場をその鮮烈なカラーが照らし、包み込んでいます。

Irving Penn
『Irving Penn: Works 1939–2007. Masterpieces from the MEP Collection』
@京都市美術館別館

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Diorがサポートするスタジオポートレートの巨匠、アメリカ人写真家アーヴィング・ペンの展示ではパリのMEP(ヨーロッパ写真美術館)が所蔵する彼の100点以上のヴィンテージプリントから80点を展示。PicassoやLe Corbusier、Christian Diorらのポートレート写真やファッション写真、風景写真、静物写真など、多岐にわたる作品群を見ることができます。ペン自身のプリントによる作品が日本でこの規模で展示されるのは初めてとのこと。彼のプリントメーカー(現像技術者)としての驚異的な技術も垣間見える貴重な機会。展示の最後には、アーヴィング・ペン作品を収めることができるブースも用意されていますよ。

Ikko Narahara
ジャパネスク 〈禅〉
@両足院

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2020年にこの世を去った戦後を代表する写真家のひとり奈良原一高の展示を、LOEWE FOUNDATIONがサポート。日本文化が否定された戦後、ヨーロッパ滞在中に触れたその魅力を深めるために帰国した奈良原は日本の風物と向き合った「ジャパネスク」を制作に取り掛かります。8章から構成されるシリーズのうち同展では、神奈川県・横浜の曹洞宗大本山總持寺や石川県・輪島の總持寺祖院で禅僧や僧堂等を撮り下ろした〈禅〉を展示。ボックス型の写真展示により庭を望める畳の一室は特異な雰囲気へと姿を変え、奈良原が撮り下ろしたモノクロームの禅と京都最古の禅寺両足院がリンクする静謐な創造的空間が広がります。

■KYOTOGRAPHIE
公式サイト

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