2023.01.08

「まるで魔法のよう」藤原ヒロシが今、リミックス制作に夢中になる理由

HF_PhotobyShoichiKajino-EditPhoto by Shoichi Kajino (Casino de Paris)

藤原ヒロシが最近、夢中になっている『リミックス曲の制作』。安室奈美恵や浜崎あゆみ、BTSやビートルズなど、名曲を元ネタに音楽の新しいアプローチをインスタグラムやYouTubeを通じて発信している。そのリミックス曲が、藤原ナビゲートするラジオ番組「JUN THE CULTURE」の2時間拡大特番「J-WAVE SPECIAL JUN THE CULTURE DELUXE EDITION」で放送されることが決定。これまで制作した楽曲の中から、成人の日の1月9日に合わせてセレクトし、その制作背景や元ネタの曲についても語られるという。放送を前に、『リミックス曲の制作』のきっかけや作り続ける理由について藤原にインタビュー。RoCのためにセレクトしたリミックス4曲とともにお届けする。

ーインスタグラムを通じて発信している、一連のリミックス曲の投稿。制作のきっかけは?

パソコンの中に、90年代にもらったステムデータが残っているのを発見したのがきっかけです。昔はリミックスを依頼されるとレコーディングの時のアカペラ音源や、楽曲をパーツごとに分解したステムデータをもらってリミックスを制作してたのですが、見つけた素材は結局企画がなくなったため使わないままだったので、使ってみようかなと。

ーJ-popのセレクトはそういった背景があったんですね。楽曲を制作する手法としてはリミックスのみですか?

最近は、どんな曲でも歌声だけを抜き取ることができるソフトウエア『RX10』を見つけたので、クオリティーはそこまでよくはないですけど、思って制作しています。リミックスが主ですが、15年前に流行ったマッシュアップという手法で作っているものもありますね。

マッシュアップは2つ以上の楽曲を掛け合わせて、新しい曲を作ること。リミックスは何か完成した音源を残して新しい曲へと編集すること。

ー音源だけではなく、映像をつけている理由は?

音楽ストリーミングサービスを通して音楽を聴くのが主流の今、人から音源をもらって聴くことはできません。それは僕も実は問題だと感じていて、特にレコーディングするアーティストにとってはリリース前に人に聞かせることが難しい。Dropboxで送ったり音の質が落ちるけれどLINEで送って再生できるけど、プレイヤーの中に入れることはできないんです。だからYouTubeに上げればリンクで送ることはできると思い映像をつけたのですが、結果その方が余計面白いものになりましたね。

ー昨年からほぼ毎日更新されていますが、制作も毎日されているんですか?

ほぼ毎日、寝る前にベッドの中で作っています。これまでに4050曲は制作しました。現在も更新中ですが、そろそろネタもなくなってきたかな。1曲の制作時間は1時間から長くて3時間ほどで。みんながゲームに夢中になるように、あっという間です。

ーリミックス歴は35年前。今改めて夢中になる理由は?

僕にとって音楽をソフトを使って自由自在にできるのは、魔法のようです。昔は仕事をする以外もらうことができなかった音源を、PCの中だけで分解できるなんて。全部ではないですが作っていると、『こんなにぴったり合うんだ』という瞬間に出会うことがあって、その快感はまるで魔法が使えたような感覚。自分の中だけですけど、この瞬間がたまらないです。

ーどういう楽曲を目指して制作をされているのでしょうか?

お笑い方向ではない「面白み」のある楽曲です。こんな曲になるんだと驚きを与えたいので、元となる曲はある程度有名である必要がある。だから元ネタ選びも面白くて、最近では人のおすすめを聞いたりしています。

僕にとってはデザインも音楽も同じで、パズルのように作っています。わざわざ鍵盤を触って音を作るのではなく、既にあるものをつなげたり、重ねたりするので。でも音楽は、キーとキーがぶつかって音痴に聞こえたりすることも多々あって、その事故的に生まれるフレーズの重なり合いは一つの魅力だと思っています。僕がつくった楽曲の中にもそれはたくさん見つけられますが、きっとそれを不快に思う人もいると思う。音楽を綺麗に聴く人にとっては「最低」という感想を持たれるかもしれないですが、その不協和音の中に生まれる何か不思議な浮遊感を感じてもらいたい。

ーリミックス曲をどのように楽しんでほしいですか?

音楽として楽しむというよりも、『音楽の違う楽しみ方』として捉えてもらえたら。昔はもう少し奥行きを持って音楽と接していたけれど、最近は音楽そのものを深く楽しむということが少なくなっている気がしています。それは僕も同じく。それだけ今は情報やエンタメが増えたということ。そんな中で、こういう音楽をどれだけの人が面白いと思ってくれるかはわからないけれど、少なくとも音楽好きや音楽ファンなら元ネタがわかって興味深いと感じられる曲がいくつか見つかると思います。

■J-WAVE SPECIAL JUN THE CULTURE DELUXE EDITION
放送日:2023年1月9日(月・祝)
放送時間:18:00~19:55
ナビゲーター:藤原ヒロシ
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