2020.10.23

ファッションは哲学、シトウレイが見つけたストリートスナップと人生の共通点

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 「ストリートスナップの価値を上げたい」と独立したのはもう10年以上前のこと。1人、カメラを片手に東京やパリ、ミラノ…あらゆる街に出かけてはシャッターを切り続けるフォトグラファーのシトウレイ。月日を重ねるごとに彼女のファンは増え、そのスナップの価値も宣言通り、高まっているように思う。10月20日に老舗出版社Rizzoliより刊行された「Style on the Street : From Tokyo and Beyond」は、その軌跡の集大成。ストリートスナップと向き合い、撮り続けることで見えてきたこととは?同書を通じてつたえたかったファッションへの思いを聞いた。

Text_Mio Koumura

-Rizzoli社から書籍が発表されることになった経緯は?

私がスナップをはじめたのは2008年。2018年に10周年を迎えた際に、何かメモリアルなことをしたいとやんわりと考えていて。「写真集か、写真展をやりたい!」と人に会うたびに、伝えていたんです。そんな中、知り合いから通常は年間3冊出版しているRizzoliが2020年に向けて刊行冊数を増やしたいということ、そして日本のストリートスナップにフォーカスしたいということで、「レイちゃん、どうかな」とお話しをいただいたんです。その時、やりたいことは口に出して言わきゃ!と改めて実感しましたね(笑)。

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-全272ページに掲載されているのは、過去撮影したスナップから厳選したもの。

まずは、ブログの写真から洗い出して、最初は2008年から2019年までの11年間分の写真のなかから、自分が好きなものを選びました。そこから、編集者の中島敏子さん(GINZA元編集長)にセレクトしてもらうという流れで進めました。自分だけで選んでしまうと主観的すぎるものになっちゃうから、プロの目を入れたかったんです。私の撮るスナップを長期に渡って見てくれている人だから、お話をもらってすぐにラブコールをして引き受けていたきました。

-膨大な数からの取捨選択は難しかったのでは?選定基準はありましたか?

取捨選択が一番大変でしたね。基準はその写真自体が放つ強さ。アートブックとカテゴライズされる写真集だからこそ、写っている人ではなく写真としてインパクトとクオリティを重視しました。あとは、中島さんの視点です。

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-書籍制作にあたりRizzoliからの要望はありましたか?

Rizzoli側からは日本のストリートスナップをというオファーがあったんですが、コレクションシーズンに海外でも撮影をしている私としては、海外のスナップにも意味を持たせたかった。中島さんと一緒に効果的に取り入れる方法を考える中で、海外スナップはスタイルティップスにように「どう着るか」というアプローチでページを作るのはどうかというアイデアが出て。インタビューなども混えて楽しんでもらえるものにしたいと提案したところ、Rizzoliにもそれを好意的に受け取ってもらい、この構成で作ることになりました。

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-雑誌のようなアプローチですね。

Rizzoli社が出版するものはアートブックなので、作品のみで構成されることが多いとは思います。スタイルティップスを入れるというアイデアを日本ぽいと喜んでもらえたこともあり、敢えて”ずらし”だったり”はずし”といった日本語から着こなしを紐解いたページも入れました。海外に出ると日本人の着こなしの幅がよく話題に上がるのですが、スタイルを解説したり、分析することがメジャーではないんじゃないかな。特にメンズは、外国人にとって魅力的に映るようです。

インタビューページには、sacaiの阿部千登勢さんや小木 POGGY 基史さんらが登場。

スコット・シューマンも含め、みなさんに引き受けていただいて本当に光栄でした。POGGY さんはLiquor,woman&tears時代から撮らせていただいていて、割と私の変遷を知っている方。Liquor,woman&tears後はスーツの世界にどっぷりとハマって今に至る、という彼の変遷も私は知っていることもあって、東京ファッションを一緒にずっと見続けているという勝手に同志のような気持ちがあるんです。

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-スナップページには藤原ヒロシさんら東京を代表するクリエイター達も登場しています。

(下記の写真は)数年前に撮影した写真です。実は私、この時にヒロシさんと初めてお会いしたんです。お話をしてみると、思っていた印象と全く違いました。すごい人だし、怖くて口数が少ない人だろうと勝手に印象付けていたけれど、びっくりするほどフラット。格好つけるとか一切なくて、本当にそのまま。受け入れてくるような感じがして、写真がストンとはまったんですよね。怒られちゃうかもしれないけれど、そういう雰囲気が私のおじいちゃんに似てるなって、勝手に親近感が沸いたのを覚えています(笑)。

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– ストリートスナップの魅力は何でしょうか?

私にとってストリートは見たことのないファッションを見られる場所。ランウェイで見られるクリエイティブは素晴らしいけれど、ストリートにはその概念を打ち破るほどの斬新なセンスが潜んでいるんです。そんな中で原石を見つけた瞬間、「よし!」という手応えを心から感じるんです。だから、スナップは私にとって宝探し。

10年以上、スナップを撮り続けることで見えてきたことはありますか?また、本書を通じて伝えたいことがあれば。

ファッションはある種の哲学なのかなって。人生は選択の連続じゃないですか。それはファッションも同じで、人は「何を着るか」、「どう着るか」という選択を日々重ねています。正解のないファッションを楽しむには、自分が好きなものを肯定してあげること、そして自分の選択に責任を持ち、自信を持つことなんですよね。これは人生においてもとっても大事なことだなって気づいた時、私は生き方が変わったんです。たとえ失敗したとしても、自分の選択を受け入れ、前に進んでいくこと。そうすることで、他者をそれまで以上に寛容でき、その魅力を理解することも自然とできるようになる。私はスナップを通してにそれを教わったから、この本を手に取った人にも知って欲しい!ファッションは人生を楽しくしてくれるものだから。

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© Style on the Street: From Tokyo and Beyond by Rei Shito, Rizzoli New York, 220. Photographs © Rei Shito

■Style on the Street : From Tokyo and Beyond by Rei Shito

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著者:シトウレイ
協力:スコット・シューマン、阿部千登勢(sacai)、小木“ポギー”基史
装丁:ハードカバー
発売日:2020年10月20日予定
価格:$35.00 U.S. /$47.00 Canadian / £27.00 U.K.
www.rizzoliusa.com

■シトウレイ「Style on the Street: From Tokyo and Beyond」(RIZZOLI)発売記念トークイベント
第一回 with 奈良裕也
日時:2020年10月30日(金)
時間:20:00~21:30
URL: http://ptix.at/QnhqwE

第二回 with 中島敏子
日時:2020年10月31日(土)
時間:20:00~21:30
場所:オンライン上での開催
URL: http://ptix.at/JnguxD

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