2020.09.16

JORDAN BRAND×fragment design 開発デザイナーに聞くバックストーリー

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 JORDAN BRAND(ジョーダン ブランド)の歴史に新しい1ページが加わる。コラボレーターにfragment designを迎えたコレクションが、9月17日にローンチする。1984年以来、幾度となくファンを沸かせてきたが、今回はマイケル・ジョーダン(以下 MJ)を知らない次世代にもターゲットを見据えたスニーカーとアパレルコレクションをそろえる。NIKEの歴史に長きにわたり関わり続ける藤原ヒロシが、ジョーダンブランドのためにデザインしたプロダクト。その制作の舞台裏とは?プロダクトを開発に携わったジョーダン ブランド フットウェア エナジー デザイナーのIsrael Mateo(イスラエル・マテオ)とジョーダンブランド アパレル デザインディレクターPeter Koytroulis(ピーター・コイトゥルーリス)の話をもとに、コレクションを紐解きたい。

Photo_Ko Tsuchiya Text_Mio Koumura

■エア ジョーダン ケーダンス 

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price:¥14,000+tax

エア ジョーダン ケーダンスの制作初期について、イスラエル・マテオはこう振り返った。前提としてヒロシさんは、様々なブランドのシューズをデザインしていますし、オリジナルのスタイルとセンスの持ち主です。それだけではなく、最新のテクノロジーを好み、それを使いこなすこともできる。ケーダンスは、日常にも履けるランニングシューズを、と多数のアーカイブモデルから選ばれたものです。正直、はじめは意外でしたが、同時にこのシューズに興味を持ち、活かしたいと思ってくれたことが嬉しかったです。マイケル自身もオフコートでは快適なランニングシューズを履いていましたし、そういうヘリテージを感じさせるものを、と選ばれたのでしょう」

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韻律やリズムを意味するcadence。この言葉の意味に忠実に、地色のニュートラルグレーのシューズには、ジャンプマンのモチーフが連続する飾りテープや、シューズ全体に大きく控えめに潜むフラグメントのイナズママークがリズミカルにあしらわれた。また、アパレルコレクションにもたびたび使用されるギザギザなステッチが同色で所々に見られ、それもまたシューズに流れるリズムを際立たせている。

エア ジョーダンⅢ

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price:¥22,000+tax

初めてシュータンにジャンプマンが採用され、今もなおジョーダンブランドのクラシックとして受け継がれるエア ジョーダンⅢ。これまでも何万通りのパターンが作られてきたが、藤原ヒロシはフラグメントデザインのシグネチャーでもあるブラック&ホワイトでデザインした。

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のちに、藤原ヒロシが「ヴィンテージカーのタイヤにホワイトのリボンがペイントされているように」と着想源について語っているが、イスラエルは「エア ジョーダンⅢはMJも好きなモデルでしたので、納得の選択でした。ヒロシさんが若かった頃、インターネットはなく、遠い存在だったエアジョーダンは思い出深い一足だったそうです」と話す。『カラーブロッキングを変えるだけではなく、視点を変えようその藤原ヒロシの言葉に忠実に、エレファントプリントのレザーは鮮麗されたホワイトカラー一色に、ブラックの幅にセンスを感じさせる、ベーシックながらも存在感のある一足に仕上がっている。

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 シックでスタイリッシュなこのシューズの中で一際注目を集めるのが、ジャンプマンとフラグメントマークが重なりあった踵部分。ジャンプマンを透明なプレートを通して透過させることでシューズ本体にプリントしたフラグメントマークがリンクし合うデザインに、「今後、エア ジョーダンの新しいスタンダードとなり得るアイデアだ」とイスラエルは言う。

■Jordan×Fragment Apparel Collection

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フリース クルー:price ¥14,000+tax

 ジョーダンブランド アパレル デザインディレクターピーター・コイトゥルーリスは、「最初の頃、ヴィンテージのスタイルや昔のストリートウェアが今の時代にとってどのように継承されているかを考えました。そうした中で、ヒロシさんのスタイルを散りばめることで、時代を越えても残るスタイルをつくることを目指したのです」

 コレクションは、2種のプルオーバー パーカーとフリース クルー、ロングスリーブ Tシャツ、ショートスリーブ Tシャツ、ウーブン パンツまでトータルコーディネートが叶うラインナップ。ブラックと濃淡の異なるブルーをシグネチャーカラーに、ノスタルジックなデザインで当時の空気感を感じさせるものへと仕上げている。「イノベーションよりガーメントにフォーカスした。アーカイヴにヒントを得て、素材の選択、グラフィックの使い方、共通して入るジグザグステッチや折りネームなどのディテールにとにかくこだわることで、時代を超えた美しさと価値を持てるように」

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ウーブン パンツ:price ¥10,000+tax

 カレッジロゴも新鮮だが、それにも増して、大胆に落とし込まれたMJのグラフィックはセンセーショナルだろう。「今の若い人たちは、MJがプレイしているところを実際には見ていない。ブランド名でもあり、アイコンでもあるMJがバスケットカルチャーの中でどのような存在かを知って欲しいと考えました。ストリートカルチャーにおけるヒロシさんの存在とそのカルチャーの一部でもあるジョーダンブランド、両者が手を組むことは大変インパクトがあることですし、そのシグネチャーとしてこの両者が重なりあうグラフィックはブランドにとって大きな出来事です。ストリートカルチャーにも深く根付いてきたジョーダンブランドをMJとフラグメント、それを取り巻く歴史を通じて感じて欲しいのです」。

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写真上 ロングスリーブ Tシャツ:price ¥6,000 / 下 プルオーバー パーカー:price ¥12,000

構想はおよそ1年半。最後にイスラエルは、藤原ヒロシについてこう語った。「単にファンキーなだけではなく、何が正しいかということに鋭利な目を持っていて、”ジャストイナフ”を熟知しています。その上で、適量を盛り込んで特別なものを作ることができるバランス感に長けています。このプロジェクトを通じて、取捨選択の大切さを教わりました」。

Jordan Brand x Fragment コレクション 9月17日発売

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Nike