2016.04.03

F512M

1984年に登場たテスタロッサ・シリーズ。「Testarossa」→「512TR」→「F512M」とフェイスリフトを行い12年間生産された訳ですが、ご存知の通り末期になるに従ってデザイン的には当初の美しさが、崩れていったという評価が一般的ではないでしょうか。

Testarossa(1984-1992)

512TR(1992-1994)

F512M(1994-1996)

 

特に最終のF512Mのフロントマスクは不評で、当時は各方面から酷評。そして実際生産終了後も中古車市場でも全く人気がありませんでした。いきなりデザインがエグくなったので、ウーパールーパーにしか見えない、という声すらあがるほどの酷評でしたね。

しかし、ですよ。

あれから20年余の時を経て、この3車がどうなったかです。

 

それぞれの1万km台の個体の現在のプライスがこんな感じです。

 

そう、あの不人気だったF512Mの圧勝なんですね。しかもF512Mだけが新車の価格より高くなっている。

 

もちろんこれには様々な要素が絡んでいるのでしょう。初期のテスタは程度の良いものが少ないとか、最終盤の完成度が再評価されたとか、当時は未来志向だったデザインが今になって違和感なく理解されたとか、最終盤ゆえに綺麗なクルマが多い、とか。

でもやはり決定的な理由はこれですよね。

生産台数

testarossa:7,177台

512TR   :2,177台

F512M  :  501台

 

やはり数が少ないというのは強い。

 

これは車に限らずあらゆる骨董品にも通ずるひとつの真実といえるでしょう。テスタは8年間も作られたから多くて当然ですが、512TRもF512Mも同じ約2年間。2,000台以上も生産された512TRに対して、変なデザインのF512Mはその不人気ゆえに 500台にとどまった。

が、それゆえに最も資産価値の高い車種となったとも言えるんですね。F40でさえ1,300台もあるのに、F512Mは500台しかない、と。

もちろん、数が少ないだけで値上がりするとは限らない、それは当然です。欲しい人がいなければ希少でも価値はあがりません。でもマーケットが探し始めた時、数が少ないモデルはやはり強いです。

こういう事があるからクルマって面白いですね。

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