シン・エヴァンゲリオン 劇場版
賛否両論あったようですが、世の中では どちらかといえば好評の意見が圧倒的に多かったようですね。誰もが予想したよりも、きちんと伏線回収をして(もちろん完全には果たされていませんが) 疑問に答えつつ、しっかりストーリーを見せて物語を終結させてあるという点が評価されたのでしょうか。
結局のところ、TV版のオリジナルのエヴァの魅了の1つには「ロボットアニメと見せかけて、実は人間模様を描いたソープ・オペラだった」という所にあったと思うんです。誤解を恐れずに言うとツインピークス的な魅力があった、と。
それに対してリビルド版の新劇場版4作品は、そういった演出はぐっと抑えてエヴァの物語が本来持っている設定やストーリーの方にしっかりフォーカスしたような作品だったと言えるでしょう。そうなると自ずと 人類補完計画まわりについて語らなけばならなくなり、どうしても終盤は宗教的なカラーが色濃くなってくる側面がありましたが、その辺りも上手く処理できてる感じがありました。また 多くの方が語っているように「エヴァはこれで終わりなんだ」という意思表示も随所に強く打ち出されていました。監督をはじめとするステークス・ホルダーの方々にとって、当然ながらエヴァは大金をもたらす作品であり終結させるメリットは何もないという状況の中で、この終わり方は立派だったと思います。
映像の行間に仕込んであるファンへのメッセージも押し付けがましさのないギリギリのラインに抑えてあったと感じましたし、旧劇場版やTVシリーズへのオマージュというか、過去アーカイブへの「落とし前」的な演出も(賛否はあるにしても)散見されました。それぞれ人にとってのかつてのエヴァの思い出のシーンと、必ずどこかで交錯するように作られてあって、その辺りは素直に楽しめましたね。良いシーンもたくさんありました。個人的にはマリの鼻歌で始まるオープニングと、アスカとマリが最後にエヴァに乗り込む時に無重力空間を通るんですが、その時の2人の動きとカメラワーク、演出が見事でした。
前作から8年以上もの制作期間を経て やっと公開となった訳ですから、監督はもちろん制作に関わった全ての方々の思い入れも、それは大きなものだったと思います。まずは大きな感謝の意を。
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