ENGINEERED GARMENTS ×LOWERCASE 2人が語るコラボレーションとNY/前半
ENGINEERED GARMENTS(エンジニアド ガーメンツ)とLOWERCASEがコラボレーションをし、シャツのコレクションを展開。今回は梶原由景が「自分が着たい」と思う、大人の男性に向けたシャツを3型リリースする。デザインは、長袖と半袖のプルオーバー風のシャツに、ビッグシルエットのシャツ。コラボレーションの経緯と2人が魅了される街、NYについて話を訊いた。
Photo_ Ko Tsuchiya|Interview&Text_ Aika Kawada
—おふたりの出会いについて教えて下さい。
梶原由景(以下、梶原):ENGINEERED GARMENTSのことは、長らく存じ上げていたのですが、ちゃんとご挨拶できたのは10年ほど前。NYのファッションウィークで毎回行っている、ネペンテスのショップイベントでお会いしました。
鈴木大器(以下、鈴木):ブランドはもう20年近く経っているので、少し経ってからでしたね。海外売りを始めたのは2004年からですが。それからもう15年経っているので、早いものです。
梶原:BEAMSに在籍していた時の上司が、NEPENTHESの会社設立した時の創業メンバーに近しく、よく大器さんのことはお見かけしていました。前職のBEAMSでは取引先としてお仕事もしていました。あと、ENGINEERED JEANSというラインが当時LEVI’Sから出ていて。名前が被ってるなぁと思っていましたね(笑)
鈴木:当時、思いついた名前がちょうど同じで。ファッションは時代性があるので、同じこと考えている人がいるんだなと驚きました。名前の被りについても、きっと気づいている人がいるだろうとは思っていましたよ。
―おふたりともNYのイメージがありますが、街の魅力は何でしょうか?
鈴木:一番アメリカで大きな都市だけど、一番アメリカっぽくない不思議な場所。すべてが“NYっぽい”。まるで別の国のようです。逆に、LAやカリフォルニアはとてもアメリカらしい街だと思っています。刺激があって面白い場所だから住み続けているのですが、最近はNYへの想いも落ち着いてきて、別の場所へ移ってもいいかもと思っています。
梶原:僕は物を通してアメリカという国を知りましたが、色々な都市を実際にまわって最後にたどり着いたのがNYだったと思います。NYは、例えばサンフランシスコで生まれたビート文学が花開いた地で、他の州や国から来た人や物事がメジャーになっていくことが多い。NYという都会の仕組みによって、様々なものごとが整理されて世の中に広まっていくので、定点観察の場所だと思っています。そこで何が起こってどう変化するかを見ていれば、次に何が起こるかが予想しやすいんです。その面白さは、他のどこを探しても無いでしょう。パリで発表されたファッションがトレンドになる時代ではもうないですし、NYは人の生き方、ライフスタイルが一度試されてから広まって定着していく。ファッションを上回るムーブメントがあるから、どちらかというと洋服はそれに付随するものという感覚だと思います。
—ここ30年でNYが最も変化したことは何だと思いますか?
鈴木:日本からの距離がとても近く感じるようになりました。「明日からNYに行ってきます」って言うことが普通になったこと。30年前は、NYへの便数ももっと少なかったし。東京にいてもNYのことを、距離的にも気持ち的にも隣町のように感じます。
梶原:為替レートの影響もあるんですかね?あとは、やっぱりインターネットの普及による情報の出入りも早さも大きいと思います。
鈴木:以前はNYから東京に新しい情報が入ってくるのに1年くらいタイムラグがあったけど、今は同時に動いて情報が行き交っている感覚ですね。そういう意味でいまは、みんなが知恵をしぼり新しいものを作ってビジネスをするようになったから面白い。自分自身は、真新しいものを作るよりも、洋服を作る中で積み重ねきたデザインでもってクリエーションを続けているので、時代の変化にそこまで影響されないでいると思っています。ただ、周囲で起きることに関しては、よく観察してデザインに取り込んでいるつもり。何かしらの時代らしさは表現されているのではと思います。
梶原:そのさじ加減に、ファンはやられているんです。目が肥えた大人たちの心を掴むのは、新鮮な色やプリント使い、いま着たいと思える素材選び、あとはアメカジが好きだった人にはたまらないディテール。大人がちゃんと着られるというキーワードをここまで網羅できるブランドはないと思っています。
―今回お2人は初めてのコラボレーションですよね。経緯を聞かせてください。
梶原: NYに行く度にお世話になっていましたし、ENGINEERED GARMENTSの洋服は長いこと愛用していました。ただ、ファッションの大先輩なので、恐れ多くて何かご一緒できるとは思っていなくて。仕事で、GRAMICCI(グラミチ)やLOOPWHEELER(ループウィラー)と「自分が着たいと思う服」をテーマに、洋服を作るプロジェクトに取り組んでいて、その話をしたら大器さんが「じゃあ、僕ともやってみようよ」と言ってくださって。それで話がスタートしました。
鈴木:彼自身が着たいものをよく知るメーカーと共同で作りあげていく話を聞いて、とてもいいプロジェクトだと思いました。ブランドのことをよく知ってくれているので、何か面白いものができるのではないかと。
―梶原さんがENGINEERED GARMENTSで愛用されているアイテムは何ですか。
梶原:シャツとジャケット、ショーツです。同じ定番モデルでも、シーズン毎にポケットの形やディテールの変化があるのが楽しくて。ジャケットは1年を通してそこまで着るわけでないのですが、つい買いたくなる魅力があるんです。ショーツも好きで、だいたい1シーズンで履きつぶしてしまいますが。ボンテージパンツのディテールを応用してあったり、細部まで作りが凝っています。シンプルなTシャツやニット、履くだけで、ちょっとディテールのツイストが生きるスタイリングになります。自分の服装は、毎日のように白いシャツを着ていて、夏だけはTシャツになるというルーティーン。なので、今回のコラボレーションに関しては、シャツのコレクションを作りたいと思いました。
▶︎後編はURBSにて先行公開
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