2019.03.11

1万5000人以上が体験した「モンクレール ジーニアス」の世界

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今やミラノ・ファッション・ウィークに欠かすことのできない存在となっている「MONCLER(モンクレール)」。2019-20年秋冬シーズンも初日の220日に、個性豊かなクリエイターたちとの協業によるプロジェクト「MONCLER GENIUS(モンクレール ジーニアス)」の最新作を発表するプレゼンテーションを開催した。当日はセレブリティや業界関係者が合わせて4000人が来場し、大盛況。さらに今回は新たな試みとして、数日後に1日限りで一般公開し、12000人がその世界観を堪能した。

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今シーズンの会場になったのは、ミラノ中央駅沿いにある高架下。クリエイターごとに分けられた空間でそれぞれの世界観を投影したインスタレーションを行い、多彩なコレクションを同時に披露した。初回から参加する藤原ヒロシ、「VALENTINO(ヴァレンティノ)」のPierpaolo Piccioli(ピエールパオロ・ピッチョーリ)、Simone  Rocha(シモーン・ロシャ)、Craig Green(クレイグ・グリーン)らに、新メンバーとして「1017 ALYX 9SM1017 アリクス 9SM)」のMatthew Williams(マシュー・ウィリアムズ)とロンドンを拠点に自身のブランドを手掛けるRichard Quinn(リチャード・クイン)を加え、さらに勢いを増した一大プロジェクトの全貌に迫る。

Photo_Moncler Edit&Text_Jun Yabuno

0 MONCLER RICHARD QUINN

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新進気鋭デザイナーのリチャードは、色とりどりのレトロなプリント使いで知られる。「モンクレール」との初の取り組みとなる今回、彼が選んだテーマはプリントの可能性。象徴的なフラワープリントで覆われた空間の中で、さまざまなフラワーやレオパード、ゼブラ、ポルカドットといったパターンをミックスしたアイテムを見せ、らしさを前面に押し出した。シルエットは、195060年代のエレガントなクチュールからヒントを得たもの。ビジューをボタンなどのディテールにあしらい、華やかなコレクションに仕上げた。

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1 MONCLER PIERPAOLO PICCIOLI

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 ピエールパオロは今シーズン、アフリカの職人をサポートするブランド「LEMLEM(レムレム)」も手掛けるモデルのLiya Kebede(リヤ・ケベデ)と共にコレクションを制作。クチュールとカルチャーの結合をテーマに掲げ、今回もダウンで仕立てるイブニングガウンを探求した。オペラが流れる優雅な空間で見せたアイテムは、1年前に披露したコレクションと比べるとフレアラインを描くドラマチックなシルエットが印象的。そこにアフリカのテキスタイルを彷彿とさせるパターンを加えた。さらに、フードやスリーブが取り外せるようになっていたりと、「モンクレール」らしい機能性を取り入れているのも特徴だ。

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2 MONCLER 1952

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 「2 モンクレール 1952」はこれまでデザインチーム名義で発表してきたが、今シーズンからメンズとウィメンズに異なるヘッドデザイナーを迎え、それぞれの世界観をより明確に示した。メンズを担当するのは、「ACNE STUDIOS(アクネ ストゥディオズ)」や「MSGM」のメンズウェアなどを手掛けてきたSergio Zambon(セルジオ・ザンボン)。ユースカルチャーに根付いた「モンクレール」のヘリテージを再解釈し、ポップなグラフィックやカラーリングとリラックス感を掛け合わせた。ダウンやフリースジャケットから、スウェットシャツ、フーディ、ニット、シャツ、スーツ、カーゴパンツ、ダッドスニーカーに至るまで、ウェアラブルなアイテムが揃う。

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 一方、ウィメンズを手掛けるのは、Phoebe Philo(フィービー・ファイロ)時代の「CELINEセリーヌ)」でプレ・コレクションのヘッドデザイナーを務めていたというVeronica Leoni(ヴェロニカ・レオーニ)。多様性の強さをテーマに、素材のハイブリッドとレイヤードを駆使したスタイルで自由な着こなしを提案する。デザイン性がありながらもリアリティーも感じるアイテムを提案するあたりは、さすが「セリーヌ」出身者。また、今回はメンズ・ウィメンズ共にイタリアのレザーグッズブランド「VALEXTRA(ヴァレクストラ)」とのコラボアイテムを発表した。

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3 MONCLER GRENOBLE

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 「3 モンクレール グルノーブル」を手掛けるSandro Mandrino (サンドロ・マンドリーノ)は、50周年を迎えたウッドストック・フェスティバルから着想。天候条件が悪いことも多いフェスにもマウンテンギアは適しているという考えを導き出し、賑やかで自由な雰囲気に満ちたコレクションを生み出した。デザインの特徴は、タイダイやフリンジ、パッチワーク。レイヤードを駆使して見せたルックには、本格的なスキーウェアやマウンテンウェアから、ニットやプリントトップス、チェックシャツ、ラップスカートといったタウンウェアまでが織り交ぜられている。また、アイスランド人アーティストのHrafnhildur Arnardóttir (フラプニルドゥル・アルナドッティル)と共同制作したインスタレーションでもカラフルなセットの中でテクノミュージックに合わせてモデルたちが踊る演出を採用し、自由かつハッピーなムードを表現した。

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4 MONCLER SIMONE ROCHA

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 自然におけるユニフォームをテーマにしたシモーンは、土の匂いが漂う森のセットを用意。その中をモデルが彷徨うかのようにゆっくりと歩く演出で見せた。コレクションは、彼女のトレードマークであるロマンチックなシルエットをプロテクションとして解釈。テントやブランケットから着想を得たボリュームのあるケープを筆頭に、イギリスの伝統刺繍を施したアウターやドレスを提案する。カラーパレットもこれまで多く用いてきたベビーピンクや赤、白、黒に加え、ユニフォームを想起させるベージュやネイビーを用いているのがポイントだ。

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5 MONCLER CRAIG GREEN

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 クレイグは、あえてモデルを使わずにコンセプチュアルな仕掛けでコレクションを披露した。テーマは歪曲的ボリューム。過去2シーズンにわたるプロテクションの概念を発展させ、畳んだり平らにすることで収納できる軽量なモジュール(パーツ)を組み合わせてボリュームのあるアイテムを生み出した。コマーシャルピースには、「モンクレール」のベルロゴをくり抜いたパーツ付きのダウンジャケットや、グラフィカルなTシャツ、ナイロンパーカーなどをラインアップする。

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6 MONCLER 1017 ALYX  9SM

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 今回新たにメンバーに加わった「1017 アリクス 9SM」のマシューは、「NIKE(ナイキ)」とのコラボを手掛ける他、Kim Jones(キム・ジョーンズ)率いる「DIOR (ディオール)」のメンズにも関わる今注目のデザイナー。アイコニックなバックルやカラビナをはじめ、彼らしいインダストリアルな美学やテクニックを「モンクレール」の機能性や着心地の良さと融合し、都会的なメンズ&ウィメンズのコレクションを仕上げた。ダウンに限らず、ペーパーナイロンやラバーのような質感のナイロン、フリースといった素材の使い方も巧みで、ファーストコレクションながら「モンクレール」との相性の良さを存分に感じさせる。若い世代を中心に人気を集めそうだ。

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7 MONCLER FRAGMENT HIROSHI FUJIWARA

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 「過去2シーズン同様に僕が持っているテイストと『モンクレール』のテクノロジーやクラフツマンシップを組み合わせた」と語る藤原による「7 モンクレール フラグメント ヒロシ・フジワラ」の今季のテーマは、メトロポリタンクロスオーバー。ビンテージライクなミリタリースタイルと最新テクノロジーを融合したコレクションを打ち出す。

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 アイテムのラインアップは、インパクトのあるタイポグラフィやオリジナルロゴを背中にあしらったバリエーション豊富なアウターをはじめ、フェアファイルニットとスウェットを掛け合わせたトップスや、バックスタイルが印象的なジーンズ、アイキャッチなグラフィックTシャツ、フーディ、モヘアニット、チェックシャツ、フリースジャケット、トラックパンツ、チノパンツ、スニーカーなど実に多彩。その中でも藤原のイチオシは、「コヨーテファーなどを使う代わりにフードとライニングに柔らかなダウンを採用したモッズパーカーとN3B」だという。

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 また、今回は「THUNDERBOLT PROJECT(サンダーボルト プロジェクト)」とのコラボによるフーディとダウンジャケットも披露。「今回は2アイテムだけだが、今後さらに広がる可能性もある」と話す。

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 8 MONCLER PALM ANGELS

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 Francesco Ragazzi (フランチェスコ・ラガッツィ)による8 モンクレール パーム・エンジェルス」は、オーストリア人アーティストのWilli Dorner(ウィリー・ドルナー)と共同制作したギャラリーのような空間でコレクションを発表。ラミネート加工を施したカラフルなダウンアイテムを並べ、ボタンを押すとカラフルなスプレーが噴射される仕掛けでアートの破壊というテーマを表現した。実際のアイテムには、メタリックカラーのダウンジャケットやワイドパンツをはじめ、ストリートアート風のタイポグラフィとフォトコラージュを取り入れたウェアやマルチカラーのロゴを並べたバッグなど、ポップでありながら反骨精神を秘めた現代アートのようなデザインが揃う。

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Keywords:
Ladie's
Men's