藤原ヒロシが語る「僕とゴローズ」。

「東京に出てきたときからゴローズのことは、知ってはいたけれど、最初はインディアンジュエリーのお店くらいの認識だった。興味を持ったきっかけは、佐藤チカちゃん(元プラスチックス/メロン)がゴローズのブレスレットをつけていて、それが印象的で、実際にお店に行ってみた。82年くらいかな。最初に買ったのは革のブレス。その頃はまだ吾郎さんもお店にいて、何か買うと、その場で記念に何か彫ってくれたりした。ゴローズのチェーンが好きで、それだけ買ったりもしていた。丸みがあって大きくて、独特な存在感があって。そのチェーンにフェザーを付けようと思って、もう亡くなった吾郎さんの息子のジュン君と一緒にチェーンにフェザーをどうつけたらいいか、いろいろと試行錯誤したのを覚えている。その頃は、みんなフェザーには革紐をつけていて、フェザーにチェーンを付けている人はあんまりいなかったと思います。
 昔も今も、ゴローズほどブレないところって、他にない。昔から作っているものは変わらないし、流行りに合わせることもしない。その時々で飛びつく人たちが変わったりするけれど、ゴローズ自身は、ずっと同じものを作り続けていて、例えば、誰か有名人がつけていたとしても、そのことを意識してなにか新しいものを作ったりはしない。ゴローズのそうしたところに、いわゆる“ファッションブランド”とは違った存在感やアイデンティを感じるのだと思う。他にも好きなジュエリーブランドはあるけれど、どこもやっぱり、時代とともにアイテム数を増やしたり、その時々の流行を意識したものを出したりする。けれど、ゴローズに関しては、そうしたことを決してしないというのも大きな魅力。
 この手のアクセサリーって、普通はウエスタンシャツなんかに合わせるのが良いとされるんだろうけれど、ゴローズはシンプルなニットやオックスフォードのシャツに合わせても良い意味でのギャップが生まれて、それが似合ってくる。
 海外の友人からも、goro'sについてよく聞かれるけれど、やっぱり彼らもゴローズが、いわゆるインディアンジュエリーとは違った特別なジュエリーだとわかっていて、皆、ゴローズにオリジナリティを感じている。
 僕はゴローズが好きなだけで、インディアンジュエリーにはそんなに興味がないから。ネイティブ・アメリカンの人たちが作った古いジュエリーとか、そういうものには興味がないけれど、シルバーとゴールドのコンビネーションにあるような、あのゴローズが持つ独特のエレガンスに惹かれているのだと思う」