CITERA® IN SRI LANKA “アクティブ・トランスファー”をテーマに、旅でも日常でも過ごしやすい機能的なファッションアイテムを展開するCITERA®。前回、アラスカへ飛んだCITERA®の旅は、スリランカへと続く。
TRAFFIC 喧騒の楽園へ。急なフライトキャンセルで、延々、8時間。バンコクの空港に閉じ込められたせいで、スリランカは想像以上に遠い国になった。そこから3時間半。湿った熱気が立ち込める、南国の夕方に迎えられる。この国のドライバーの運転は荒い。乗り込んだバンは土埃を巻き上げ、やたらとクラクションを鳴らしながら、前方を走るバスやバイクをカーチェイスのように抜いていく。空港からさらに5時間後、疲労感を乗せて辿り着いたのは、真っ暗なジャングルだった。その夜はもう、どっぷりとした暗闇に、飲まれるようにして眠った
STAY IN JUNGLE ジャングルで眠る。騒々しい鳥の声が朝を呼ぶ。窓の外で、野生の猿が青々とした森を走り回っている。昨夜の暗闇から一転、朝霧で霞んだ緑の楽園が姿を現した。スリランカが誇る天才建築家、ジェフリー・バワが1994年に手がけたホテル〈ヘリタンス・カンダラマ〉。湖を望む高台に沿って、岩肌や木々に寄り添う建物は、人工物であることを認めながらも、自然との境界線を最大限に曖昧にする。朝をゆっくりと受け止めて、バワも感じたであろう、この土地のエネルギーに心を傾ける。どうやら、野生の象が出るというのも本当らしい
SQUALL 空と大地。空は誰のことも待たず、ドラマティックに転換する。急な暗転。騒々しく、葉を打ち付けるスコール。強い雨音は、森の雄大さを高らかに奏でるかのように美しい。そして忙しく土を濡らした後を、青がそっと照らしていく。雨が去ったばかりのシーギリヤ・ロックへ。世界遺産にも指定されている、高さ200mの岩山は荘厳だ。あまりに神々しくて、遥か宇宙から平原に落ちてきた隕石のようにも見える。これが自然の造形物であることを、なかなか信じられずにいた。かつて父を殺して地位を得た若き王は、復讐を恐れてこの岩の頂上に宮殿を築いた。1400年前、狂気の王が岩の洞穴に描かせたシギリア・レディは“雨の妖精”とも言われている。孤独な王もきっと、岩の上で同じ雨音を聞いたのだろう。
COLOMBO, CITY 都市、コロンボ。スリランカで一番の都市は、今日もクリケットのパレードで騒がしい。少年もおじさんも試合に熱狂、街は大渋滞だ。過去に世界一に輝いたこともあるスポーツは、この国の誇りなのだと聞く。喧騒を縫って、湖上に建つ、祈りの場を訪れる。高層ビルが建設ラッシュの開発エリアに、俗欲を逃れるように佇むシーマ・マラカヤ寺院は、バワの作品でもある。ビビッドな黄金色に輝く仏像。テーマパークのようなポップさは、お国柄だろうか。満月の日には皆、一滴も酒を飲まず、白い服を着てここを参りに来る。寺院の近くにはもうすぐ、オモチャみたいな蓮のタワーもオープンする。
STAY IN SEASIDE波の音を聴きながら。コロンボから、南のシーサイドを目指す。ゴールの海沿いのリゾート〈ジェットウィング・ライトハウス〉も、バワの建築だ。ここもまた、海岸の地形に添い、海と融合するように設計されている。海と一体化するインフィニティ・プールを、最初に考案したのも彼らしい。濡れたプールサイドの芝生には、小さな鳥やリスがやってくる。ゆっくりと暮れゆく空と海と波の音は、静か。想いは彼方、地平線の先へ。
OLD TOWN白い旧市街。ゴールには、オランダ人が築いた旧市街もある。ポルトガル、オランダ、イギリスと植民地化してきたスリランカの遺産だ。砦に囲まれた岬。白い灯台、モスク、教会。コロニアルな街並み。戦争の歴史は長い時を経て、この国特有の平穏な日常や文化として昇華される。白い街を歩くカラフルな服を着た人々は、誰もが例外なく人懐っこい。学校帰りの小学生と、通りすがりにハイタッチして笑い合う。旅は、いつだって素敵だ。