2015.12.17

リーバイス®との協業100周年を迎えた「コーンミルズ」の真実。

デニムカルチャーに多少なりとも興味があるなら、「コーンミルズ」の名を聞いたことがあるだろう。アメリカ・ノースカロライナ州グリーンズボロを拠点に、高品質なデニムを作り続けている老舗デニムメーカーである。同社のデニムはなぜ、昔もいまも、人々を魅了してやまないのか? 今年2015年に協業100周年を迎えたリーバイス®との関係を振り返りながら、その歴史を紐解く。

Photo_Osamu Matsuo | Text_Shuhei Sato | Edit_Issey Enomoto

 

ジーンズはリーバイス®から始まった。

ジーンズの生みの親であるリーバイ・ストラウス&カンパニー。その誕生の経緯はあまりにも有名だが、ここで今一度おさらいしておこう。

時は1873年。リーバイス®がいまも本拠地を置くアメリカ・サンフランシスコは当時、金鉱の発見による“ゴールドラッシュ”の影響で爆発的に人口が増え、港町として急成長を遂げていた。そこで働く労働者たちは、厳しい採掘作業に耐えられる頑丈なワークパンツを求めていた。そんなニーズに応えて仕立屋のヤコブ・デイビスが、リベット(金属製の鋲)で補強を施したワークパンツを考案。そして彼のビジネスパートナーであり、雑貨店を営んでいたリーバイ・ストラウスが、5月20日に、その特許を取得。これがジーンズの原型となり、パイオニアと称される理由である。そして1890年に今も脈々と受け継がれる大定番である「501®」が誕生した。

 

最高の生地を求めた結果、コーンミルズに行き着く。

501®の最大の特徴は、最高品質を意味する“XXデニム”を用いた頑丈な作り。当初はアモスケイグ社というメーカーのデニムを仕入れて生産していたが、より優れた品質を目指すために、1915年にコーンミルズ社のShrink-to-Fit(セルビッジ)生地を独占的に501®に使用する権利を獲得。この紳士協定はのちに「The Golden Handshake(ゴールデンハンドシェイク)」として称され、両社の関係は今年2015年で100周年の節目を迎えた。

 

右綾×Shrink-to-Fitデニムが最高のエイジングに。

リーバイス®と言えば、このShrink-to-Fitの右綾デニムが代名詞だ。“縮んでフィット”するとの言葉の通り、あえて縮率の高いデニムを使い、ユーザーが洗濯と着用を繰り返すことで縮んでは伸び、各々の体型にピッタリと合うように考慮されている。これを逆手に取るように、ライバルのジーンズメーカーは、縮まないことを売りにしたサンフォライズド加工を施した左綾デニムで対抗。右綾デニムは、一般的な左撚りの糸に対して逆方向になるので緩みが生じ、凹凸があり、硬めの仕上がりになる。一方の左綾デニムは糸の撚りと同じ方向になるので、フラットで柔らかな生地に。この違いがジーンズの醍醐味である色落ちに差を生むことになる。

縮むことでよりボコボコとした生地感になる右綾デニムは、濃淡のある色落ちになり、そのフィット感がヒゲやハチノスと呼ばれる腿や膝裏の深いシワを顕著に出す。一方で左綾デニムはフラットな生地感なのでタテ落ち感が強く、あまり濃淡のない青っぽい色落ちになり、穿き込んだシワがクッキリと出にくい。古着愛好家からの評価は前者の方が高く、ビンテージ市場におけるリーバイス®の価値を不動のものにした。

コーンミルズ社との協業が始まった当時の501®。リーバイス®のアーカイブ資料より。

 

現在もメイドインUSAを貫く希少なメーカー。

リーバイス®を語るうえで欠かすことのできないコーンミルズ社だが、その名前は聞いたことがあっても、全容を知る人は少ないのではないだろうか。

コーンミルズ社の歴史は古く、その前身となる会社がノースキャロライナ州グリーンズボロに設立されたのは1891年までさかのぼる。1905年にはデニム工場が設立され、“ホワイトオーク”と名付けられた。その名前は、敷地内に生える樹齢200年にもなる大きな木に由来。もちろん現在も稼働しており、世界でもっともアイコニックなデニム工場として知られている。

そんなコーンミルズ社では、40年、50年以上勤務を続ける社員や数世代の家族が一緒に働くことは珍しいことではないという。その中でも突出した社歴を持つのが、ホワイトオーク工場に務めるエルバート・フランク・ウィリアムスさんだ。

 

勤続60年を超えるリビングレジェンドは語る。

フランクさんは1935年に生まれ、1954年にコーンミルズ社へ入社した。現在も新入社員だった頃と変わらないスリムで健康的な身体を持ち、青いオーバーオールをサラッと着こなす。

彼の仕事は、工場の機器を直すこと。「敷地内のほとんどの機器の取付け、修繕方法は自力で習得した。ただ壊れた物を直しているだけ」と謙遜する。糊付機器の列を数マイル歩き回り、機材の状態を確認し、コーンミルズ社ホワイトオーク工場の製品レベルを維持するために圧力やスピードを微調整するのが日常。必要があれば、取替部品を手作りすることもあるという。

近代化した工場の中に、平行して旧き良き時代の機材が稼働しているのは、フランクさんのような長い歴史を知るものがいるからこそ。

「ベトナム戦争に徴兵された時も、クリスマスボーナスや特別給料が支給された。政治的、経済的に危機的な状況があっても、雇用を守ってくれる最高の会社なんだ。それは顧客に対しても同様。どんな難しい状況であってもリーバイス®へのコミットメントは守っている。オイル危機の時には、製造中止を避けるために特別な貯蔵タンクを手配したんだよ」

 

100年の歴史を体感できるコレクションが登場。

リーバイス®とコーンミルズ社の信頼関係は、100年経った現在も揺るぎないものとなっている。今シーズンのリーバイス® ビンテージ クロージングでは、1915年の501®とコーンミルズ社、デニムの開発に貢献した人々へのトリビュートを展開。このリーバイス® ビンテージ クロージングは、コーンミルズ社とリーバイス®トラウス&カンパニーと共同開発したホワイトオーク工場によるデニムのアーカイブを解析し、忠実に復刻したデニム生地が使われている。

先ほどのフランクさんが手直ししている当時の力織機を使うのはもちろんのこと、あえて古い木の床で織られているそう。近代的なコンクリートではなく、軋む床の上に置くことで微妙に揺れ、当時と同じ風合いに仕上がるというからおもしろい。その歴史の重みと糸1本にまでこだわる情熱を体感してほしい。

 

1915 501 15501-0004 Rigid ¥28,500+tax

1915 501 15501-0007 White Oak ¥32,500+tax

1915 Sack Coat: 52191-0003 Rigid ¥47,000+tax

Blanket lined 1915 Sack Coat: 70352 0002 Single Jack ¥75,000+tax

リーバイ・ストラウス ジャパン

levi.jp